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  この違いによって、両者への「裏切られた」という気持ちに温度差が出たようにみえました。東出さんには私生活も含め共感していた人が多く、「自分の夫が同じことをしたら」「これが友達夫婦の話だったら」と、自分の世界と地続きの問題として考えた人が多かったのではないでしょうか。一方、杏樹さんの不倫報道は「女優さんの不倫」として、自分たちの世界とは距離のある話だとして受け止められたようです。

海辺デート、格安ラブホに見えた「純粋な関係性」

 杏樹さんへの批判を弱めている理由は他にも考えられます。それは彼女がこの不倫に「純粋な関係性」を求めていたように見えたことです。

「純粋な関係性」とはイギリスの社会学者であるギデンズの言葉です。経済的な目的や社会的な条件によってではなく、相手との関係性から得られる充実感によって、自発的にもちたいと思うような社会関係を指しています。

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 杏樹さんの場合、喜多村さんよりもご自身のキャリアが上で、収入も多そうです。その上、デートも海辺の公園でコンビニで買ったものを囲みながら過ごすという、ごく普通のものだったと報じられています。視聴者には、杏樹さんが相手の社会的地位や財産などを求めて不倫に及んだようには見えなかったのではないでしょうか。

鈴木杏樹の不倫相手・喜多村緑郎 ©AFLO

 つまり「一人の人間としてこの人と一緒にいたい」という気持ちから、喜多村さんと関係を築いているように見えた。地位や名誉というわかりやすい「利益」を目的とせず、一人の個人として「純粋な関係性」を求めたように思われたのです。不倫は許されないことだけれど、「純粋な関係性」を求めることにはどこか共感する、と感じる人は、少なからずいたと思います。

条件は「ロマンチックラブ・イデオロギー」を侵犯しないこと

 一方で東出さんの場合は、9歳年下で当時未成年だった唐田さんとの不倫。自分のプライドや支配欲を満たすという「利益」のために、恋愛感情を道具のように使って不倫をしているように見えた。それゆえに批判の熱が増してしまいました。

韓国の映画祭での唐田えりかと東出昌大 ©時事通信社

 ただ、この「純粋な関係性」が支持されるためには、1つ重要な条件があります。それは、夫婦の「ロマンチックラブ・イデオロギー」を侵犯しないことです。