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【イースタン・ロッテ】いつまでも走れ、カルロス・ムニス

文春野球フレッシュオールスター2017

2017/07/13
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僕の未来、ムニスの未来

 それからムニスがファンと交流することはなくなり、試合後はすぐに室内練習場へと向かった。ひたすら打撃練習を続ける音が響いた。家族の姿も見られなくなった。

 そしてシーズン終盤に、あの日がやって来た。ムニスは成田空港に向かい、Yさんはそこで彼に別れを告げた。「ムニ、泣いてたよ」。翌日、Yさんは静かにそう言ったが、僕は何も言わなかった。

 翌年、僕は大学に進学したが、すぐに中退した。ほとんど引きこもりのような生活を続け、浦和球場に行くことも無くなった。Yさんともファンの人々ともそれっきりだ。

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 時は経ち、僕は引きこもりを脱して、ライターになった。なんだかんだで、思ったよりも楽しく生きられている。41歳になったムニスは、それでも現役を続けて、今年のWBCブラジル代表に選ばれた。予選でイギリスに敗北し、本戦出場はならなかったが、最終回に三盗を試みてヘッドスライディングをした。

2016年WBCブラジル代表のムニス ©getty

 僕は変わり、ムニスは変わらなかった。たぶん、それでいいのだろう。次のWBCは4年後に開かれる。その時僕とムニスはどうなっているのだろう。僕はライターを続けられているだろうか。ムニスはヘッドスライディングをしているだろうか。時々、そう考えてしまうのだ。

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