アカデミー賞でも大注目だった『パラサイト 半地下の家族』。作品賞、脚本賞、監督賞、国際映画賞を受賞し4冠を達成。

 この映画は面白い。しかし未見の人には詳しく言えない。ポン・ジュノ監督も「どうか、ネタバレをしないでください」と言っている。

 大丈夫です、安心してください。簡単に教えてあげるもんですか。ネタバレエチケットは守ります。

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ポン・ジュノ監督 ©︎AFP/AFLO

ネタバレNGの『パラサイト』をどう紹介するか

 しかしその一方で、以前からよく思うことがある。

「この映画は面白い」というのが最大のネタバレではないかと……。

 作り手側はこういうネタバレなら大歓迎だろう。ではそこまでは“あり”として、メディアで語るとなったときに『パラサイト 半地下の家族』をどう紹介するか? もし自分がこの映画のコメントを求められたら何て言う?

 私はそんな遊びを、自分が出演しているラジオ番組「東京ポッド許可局」(TBSラジオ)でやってみた(2月3日放送)。共演するマキタスポーツ、サンキュータツオと3人で『パラサイト』を紹介しあったのだ。

 俳優に目を付けたコメントもあれば、他の映画(『万引き家族』)と結び付けて紹介するコメントなど、それぞれの見方が出てなるほどと思った。

 私が考えた紹介コメントは、「匂ってくる映画」だ。

©︎AFP/AFLO

 劇中に出てくる食べ物もそうですが、この映画における「匂い」は切ないくらい意味がある。

 あと「湿度」も伝わってきたなぁ。生活感のある湿り気。でも辛気臭いものではなく、むしろこの作品はすっとぼけていた。おかしみが漂っていた。

 それはなぜだろう?

 映画を観終えたあとに記事をいろいろ探したら、この「すっとぼけ」や「おかしみ」についてのヒントを見つけた。ポン・ジュノ監督その人の言葉である。