今回は“新聞文脈”について書いてみたい。「それってオヤジが発信してオヤジに響いているだけでは?」と思える言葉のつかい方が新聞にはよく登場するからだ。

 たとえば森友学園と加計学園をまとめて「“もり”“かけ”」とふつうに呼ばれていることがある。朝日新聞の短文コラム「素粒子」を見てほしい(5月29日)。

《安倍政権が戦後3位に。「もり」「かけ」にもめげず。だが慢心は支持を「ざる」に。「きつね」も「たぬき」もいる政界で。》

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5月29日朝日新聞夕刊 素粒子

 うまいこと満開。最後は「きつね」と「たぬき」も出てトドメ。とりあえずこれをオヤジジャーナルの「うまいこと言ってやった語法」と呼びたいのだ。

THIS IS 新聞オヤジ・ハイテンション

 さらに新聞がハイテンションになる時期がある。選挙と政局である。

 先日の都議選の翌日に、思わず「うわっ!」となった記事を紹介しよう。

「首相の求心力 低下 疑惑や不祥事『自滅』 豊田氏・萩生田氏・稲田氏・下村氏 」(朝日新聞・7月3日)

 

 注目は次の部分。

《閣僚経験者の一人は、不祥事や疑惑を引き起こした閣僚や政権幹部の名前を挙げながら都議選惨敗の要因を総括してみせた。「THIS IS 敗因。Tは豊田、Hは萩生田(はぎうだ)、Iは稲田、Sは下村」》

 出た、うまいこと言ってやった語法。

「THIS IS 敗因」は元閣僚の言葉だが、新聞も当然のように載せているのが読みどころ。まさにオヤジが発信し、オヤジが受信している構図。

もりそば(左)、かけそば(右) ©共同通信社