いま、札幌の暗号資産販売会社「48(よつば)ホールディングス」の役員が、安倍晋三総理が主催した「桜を見る会」や前日の「前夜祭」に出席。総理らと記念写真を撮り、その写真を会員勧誘に使っていたという疑惑を東京新聞が報じた。

 月刊誌「財界さっぽろ」では2018年3月号で、「ジャパンライフ元役員が札幌で仮想通貨マルチ商法」という独自記事を掲載。48社とジャパンライフの接点とは――。

 以下、当時の記事を再録した。

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2019年の「桜を見る会」 ©文藝春秋

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中には5億円を投資した人も

 磁気ネックレスなどの預託商法を手がける「ジャパンライフ」(東京都千代田区)が2017年12月、多額の負債を抱えたため、銀行取引停止処分を受けて事実上倒産したことは周知の通り。

 同社は磁気治療器のオーナーとなり、別の顧客にレンタルすると、年6%ほどの収入を得られる「レンタルオーナー契約」を展開。これに対して、消費者庁は特定商取引法違反などで一部業務停止処分を下した。

 このほか、商品宣伝などをすると、年6%の活動費を受け取れる「誘引販売契約」についても、連鎖販売取引(マルチ商法)と認定した。

 顧客の大半は高齢者で、負債総額は2400億円以上にのぼるとみられる。全国各地の消費者センターに相談した人の平均契約額は約1800万円で、個人単位の投資額としては、最も大きな消費者被害事件になるとみられる。中には5億円を投資した人もいた。

 相談件数は道内が最も多く、全体の1割だった。被害者数は数百人以上にのぼるとみられる。同社は北海道で他地域よりも多い5店舗を展開していた。これが被害者の多い理由だ。

ジャパンライフ本社 ©AFLO

さらなる商品の購入を持ちかけていた

 ジャパンライフは銀行取引停止処分を受けて以降、顧客などに対して全国各地で説明会を実施。同社は倒産を否定している。

「説明会で『ジャパンライフは磁気ネックレスなどのメーカー専門となり、販売専門の別会社を設立して、事業を継続していく』と主張している。多額の投資をしている顧客に、さらなる商品の購入を持ちかけている」(法曹関係者)

 こうした動きを受け、全国各地に弁護団が発足。「全国ジャパンライフ被害弁護団連絡会」も組織され、今後、資産流失を防ぐことを目的に全国の弁護士団が連携し、同社の破産を裁判所に申し立てる方針だ。

 一方、仮想通貨流出問題も世間を騒がせている。仮想取引所「コインチェック」(東京都渋谷区)から580億円相当の仮想通貨「NEM」が不正に流出したというもの。

 仮想通貨市場は今後も伸びるといわれる。その一方で、セキュリティ対策や消費者への補償問題など、“不安定さ”も浮き彫りになった。代表格である「ビットコイン」の価格も一時右肩上がり基調だったが、最近は下落している。