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2017/07/20

伊東監督が毎年涙を流す日

 私が確信をもって、監督が泣いていたと言える日がある。それは毎年、同じ時期に訪れる。マリーンズでは恒例となっているアイプリモ始球式プロポーズの日だ。試合前に男性が内緒で彼女を球場に招待し「ボクがストライクを取れたら結婚してください」と満員のファンの前でプロポーズをしてマウンドから選手に向かってボールを投げるイベントデーだ。選手が空振りをしてストライクが成立し、彼女は「ぜひ」と喜びハッピーな結末になるのが定番。伊東監督は毎年、このイベントをベンチで目にしている。

 就任1年目の2013年こそ不覚にも目が潤んでいるところを見られてしまったこともあり、2年目からはサングラスをかけるようになった。今年に至っては念入りに目薬を差してからサングラスをかけて見るという周到な準備をしていた。同じ年頃の息子と娘を持つ指揮官にしてみれば、このイベントは父親の立場で見てしまい、泣けてしまうのではないかと私は推測をしている(監督本人に直接、聞く勇気はさすがにありません)。

 開幕前に選手たちから野球殿堂入りを記念してサプライズのプレゼントをもらい目を潤ませ、誕生日にはもはや恒例となっているため、サプライズ感はないのだが、みんなでハッピーバースデーを歌い、ケーキを用意され感動する指揮官。今年は残念ながら開幕からチーム状態がなかなか上がらず、うれし涙の数は少ないが、そんな情に厚い男にもっともっと喜んでもらいたいとチームの誰もが思っている。

「何度も言うけど、あれは目薬だからな。泣いていないぞ」

 今年はそのセリフを聞く回数が少ないが、まだ後半戦は始まったばかり。最後まで諦めずに1球に集中し、全員野球で挑む伊東マリーンズの姿勢を今こそ見せる時だ。「限界を超えろ!」。今年のチームスローガンのサブフレーズにあるように限界を決めずに挑み続けた先にこそ感動の涙が待っていると信じている。

梶原紀章(千葉ロッテマリーンズ広報)

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