照れ隠し? ベンチに目薬が置かれている理由

伊東監督がベンチに置いている4本の目薬 ©梶原紀章

 ベンチでは目薬が4本、綺麗に並べられている。いつも同じ順番に試合開始30分前にはそろっている。それらはマジックで「83」と書かれている。伊東勤監督が試合前と試合中に愛用している目薬たちだ。4本あるのは日に応じて様々なタイプのものを使うためだ。

「ここ数年かなあ。ドライアイのような感じでね。だから、ベンチに置いてもらっているんだ」

 試合開始寸前に1滴、目に差す。気合を入れ、ゲームに向けて気持ちを入れるためだろうが、時にそれは別の意味を持っているのではと思ってしまう時がある。

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 今年だと5月19日のイーグルス戦(ZOZOマリンスタジアム)。延長十回にサヨナラ勝利で決めると、抱擁しながら喜びを分かち合う選手たちの姿を伊東勤監督は嬉しそうに目を真っ赤に充血させながら見ていた。

「泣いていないよ。周りからもそう言われたけどね。目薬だよ。目薬!」

 翌朝、グラウンドに姿を現した指揮官はごまかすように語った。これ以外でもここ数年、何試合もそのような場面があった。そのたびに「なんか目薬のせいで、目をウルウルさせているように言われるんだよなあ。テレビではそう映るみたいなんだよ」と笑う。事実か照れ隠しか。正直なところ、私も分からない。ただ、監督が泣き上戸であるのは間違いないと私は思っている。