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言い合っているうちはまだやり直せる。本当に冷え切ると……

 自分が似ているタイプだなと思ったのが、ディベート夫婦のまゆみさん(50代、事務職)ですね。私もまゆみさんと同じで顔が怖いので、普通にしていても怖がられるんです。テレビでいつも怒っているから、余計にそう思われるんでしょうね。ただ、ぼぉーっとしているだけなのに、「怒ってる?」って言われたり(笑)。

 そして、気持ちを伝えるのが苦手というのも同じです。

《夫から、「怖い」と言われたことがあります。自分でも、夫は私のことが怖いだろうな、と思います。

 まず私は、負けず嫌いで意地っ張りです。夫の意見に対して、私が意見を言う。たいていディベートのような反対意見です。夫がそれにカッとなり、大声で反論してくるので、私も「負けないぞ!」と応戦します。反対意見を言うのは、夫が気づかないこころを教えてあげようとか、異なる観点を探すことで夫の考えも進歩するのではないか、と思ってのことでした。

 そして、夫婦ケンカになり、口をきかなくなるのが、いつものパターンでした。長い時は、夫は1カ月以上、口をききませんし、私も意地を張って、「しゃべるもんか!」と応じていました。》

 私も、ぶっきらぼうになってしまうし、恋愛でも、「愛してる」とか、「好き」とか、あまり言わないタイプなんですよ。最近は、感謝の気持ちを伝えるとか、自分の素直な気持ちを出すように気をつけていますね。本当は平和主義で心穏やかな人間なんです。

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 でも、この本を読んでいてもう一つ思ったのは、「お互いに関心があるんだな」ということです。

 再現で演じたことがあるんですが、冷え切った夫婦になると同じ家にいても、LINEでしか会話をしないんです。それに比べると、むしろ愛情を感じますね。好きすぎて、空回りして、上手くいっていないパターンがあります。まだ、やり直せる可能性があるんじゃないでしょうか。

 本の後ろのほうには帰宅恐怖症の解決法が順を追って書いてあるのですが、ある女性相談者の方のお話が印象に残りました。

《まずは自分と向き合いました。私は何がしたいのか、何を望んでいるのか、しっかり考えたのです。

 すると『なりたい自分になることだ』と気づきました。そのために一生懸命努力しました。自分の人生に責任をもてるように意識しました。誰かに幸せにしてもらうのではなく、私が私の人生を大切の思うようにしたのです。

(中略)

 旦那様にもかわいらしい笑顔をふりまくことができるようになりました。何より笑顔でいることが大切だと思えるようになりました。》

 確かに家族に対して求めることが多いと思うんですけど、まず自分じゃないかと気づけるところは、すごく良いですね。自分でも知らないうちに、自分の不満を相手に求めてしまうことってあると思うので。

 他にも様々なアドバイスを得られる本でした。お互いに少し考え方を変えるだけで、平和な家庭を築ける可能性があるのではないでしょうか。

帰宅恐怖症 (文春新書)

小林 美智子(著)

文藝春秋
2017年6月20日 発売

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