お手本は先輩・村田修一の生き様
ならば、これからの山口俊はどうしたらいいのだろうか? 参考にすべきお手本は、背番号25だと思う。11年オフに同じく横浜から巨人へFA移籍して来た先輩・村田修一だ。正直、当初は賛否分かれる移籍だった。ハマスタでは古巣ファンから激しいブーイングも食らったこともある。その一方で、移籍直後の12年からチームはV3達成。どんなに批判されようが、若手を使えとディスられようが、雨の日も風の日もいつも静かに試合に出続けた村田さん。若い岡本の優先起用プラン、ポジジョンの被るマギーの獲得、いつ何時どんな逆風でも土俵際で踏ん張り己の実力で蘇る。
今季序盤、出番に恵まれない背番号25が代打で登場すると、東京ドームのスタンドは大きな歓声と拍手に包まれた。あんた最高に格好いいぞってさ。もしも道端で倒れている巨乳グラビアアイドルと巨人村田修一のどちらか一人しか助けられないとしたら、俺は迷いなく村田さんを助けるだろう。ってゴメン、それは言いすぎだけど。喜びも悲しみもワリカンできる関係性を、気が付けば巨人ファンと村田さんは築いてきた。6年だよ。村田さんはここまで来るのに6年もかかっている。どすこいはまだ4試合しか投げてねぇじゃねえか。
そんなに簡単に受け入れられるわけないよ。巨人ファンにも、DeNAファンにも。よく今回の騒動はプロとして「自覚」が足りないと指摘される。それだけじゃない、「覚悟」が足りないんだよ決定的に。狭い日本球界で同リーグのライバルチームにFA移籍したことに対する覚悟がさ。まだ事件の調査結果は公式発表されていないけど、どちらにせよ山口俊に対するファンのハードルが一気に上がったのは確かだろう。移籍前のローテ4番手で二桁勝ってくれたら御の字というヌルい期待から、もはや15勝しないと認めないぞ的なシビアな見られ方をするはずだ。しかるべき処分を受けて、マウンドで再出発と言っても心ない野次を浴びるかもしれない。でも、もう泣いてる場合じゃないよ。その涙には誰も感情移入できないと思う。
いい加減大人になれ、山口俊。覚悟を決めて、腕一本で這い上がるしかないんだよ。
涙はいらない。だって、プロ野球選手は結果がすべてなのだから。
See you baseball freak……
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