バティスタが本当に言っていたことは……
7月10日のDeNA戦、0-1の7回裏 一死二塁、先発・野村祐輔の代打でバティスタが登場すると、7号となる2ラン本塁打でカープは逆転。野村の5勝目に貢献した。その日のヒーローインタビューである。
−−逆転2ランホームラン、バティスタ選手、ナイスバッティングでした!
バティスタ:アリガトウゴザイマス!
−−あのバッティング振り返ってください。
クレートの通訳:あのぅ……高いボールを、どんどんどんどん振るに、いってました。
バティスタの発言:甘い球を待っていました。コンパクトに振れるよう心がけていました。チームの勝利に貢献できて良かったです。
−−野村投手の代打でした。どんな思いで打席にむかいましたか?
クレートの通訳:あの……やっぱり、甘い球を、どんどんどんどん振るに、いってました。
バティスタの発言:甘い球を探して、良い仕事ができるように心がけていました。
−−それにしても飛距離も十分。すごいホームランでしたね。
クレートの通訳:まあ、やっぱり、あのー、自分の武器は、あのー、パワー。そのパワーで、あのー、あそこまで飛んだです。
バティスタの発言:非常に良い気分です。わたしはパワーが持ち味ですので、良いミートが出来ることをシンプルに考えていました。
−−チームは引き分けを挟んで4連勝となりました。チームの雰囲気はいかがですか?
クレートの通訳:あのー、えっと、4連勝してるから、あのー、いまチームを、ほんとは最高です。
バティスタの発言:良いスタイルのチームです。ファンの皆様に勝利を与えられるように、チームは日々100%の力で動いています。
−−大きな声援のなかでホームランを打ちました。改めて勝利の喜び、お気持ちいかがですか?
クレートの通訳:ま、ほんとは、あの、うれしいです。あのー、チームもチャンスもらってるから、すごく喜んでるです。
バティスタの発言:チームからチャンスをもらい、そして信頼してくれて、嬉しいです。
−−大きな応援をしてくれました、カープファンにメッセージをお願いします
クレートの通訳:あの……やっぱり、今日の応援、すごかったです。あの、100%を毎日、します。
バティスタの発言:チームの勝利に貢献できるように、毎日100%を尽くします!
やっぱりちょっと違った。でもやっぱり、文字にしても面白くてたまらなかった。「今日の応援、すごかったです」というのはクレートさんが追加した感想だったのか、と知るとますます愛おしさが込み上げてきた。まだ現地で聞いた事のないわたし、クーちゃん節を生で聞く事、今年の観戦目標に加わった。
当のヒーロー・バティスタ本人はというと、クーちゃんに対して「もっと勉強して日本語を頑張ってほしい」とテレビで発言するなど、事態を把握しているようである。しかし、正確な通訳よりもクーちゃん節を欲しがっているファンの方が多いだろう。クーちゃん見たさにバティスタの活躍を祈っているわたしがいる。
バティスタには悪いが、どうか「mas o menos(まぁまぁ)」のままでいてください。ませんか。
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