週刊誌の中吊りの、右端にどーんと載る記事を右トップ、左端のそれを左トップと呼ぶ。いわばその号の目玉である。今週の週刊文春では、右トップを網タイツの女王・稲田朋美、左トップを黒Tシャツの女王・松居一代が飾っている。

網タイツの女王 ©橋本篤/文藝春秋

 右トップのタイトルは「稲田朋美防衛相の本性」。安倍首相の寵愛もあって、異例のスピード出世を果たし、次期首相の呼び声さえもあったのが、ここにきて失点が続き、そのありさまから「産経まで見放した“えこひいきの女王”」とのコピーがつく。

 急失速の要因のひとつに、南スーダンでのPKO活動の日報問題がある。陸上自衛隊内で破棄されたはずの日報データが見つかりながらも非公表とされた経緯について、防衛省幹部からその報告を受けていたという疑惑だ。「報告を受け、隠蔽を了承することはない」と否定するも、文春発売翌日の28日になって、辞任にいたる。

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 そもそも稲田朋美が防衛大臣になったのは、「今のうちに経験を」との首相の意向によるところであった。一方で記事には、自民党幹部のコメントで「門外漢の稲田氏を重要ポストである防衛相に任命したことが大きな間違いだったのです」とある。

「防衛官僚覆面座談会」で語られたこと

 ここで注目なのがこの記事に続く「防衛官僚覆面座談会」にある、昨年、戦没者追悼式の欠席を辻元清美に追及されて涙ぐんだ件についての暴露話である。

「実は、あの話は自民党の元防衛大臣が民進党に持ち込んだそうです。自民党の防衛族は稲田さんに厳しい」

 舅の死に「やっとくたばったか、クソじじい」と言い放ち、位牌を紙袋に入れて放置してしまう松居一代とは反対に、なんだか、小姑たちにいじわるされるお嫁さんみたいである。

 そう思えば、稲田朋美がいたいけに見えてきやしないか。

2017年1月 国会初日 ©石川啓次/文藝春秋