蓮舫が「センスない」理由
今年7月の都議選では小池人気の前にさらに埋没した民進党。結果的にそれが「蓮舫代表辞任」の要因のひとつになったのだから皮肉というか、政治ドラマの怖さというか。もしあのとき蓮舫氏が決断していたら今日の小池ブームもなかったかもしれない。そう考えると日本の政治史でもかなり重要な分岐点だった。
去年の都知事選から1年弱で民進党代表を辞任すると表明したした蓮舫氏について「日刊スポーツ」はこう伝えた。
「ガッカリ 蓮舫代表 『センスない』党内の声」(7月28日)
ちなみに隣の見出しは「いまさら 稲田防衛相」。
蓮舫&稲田の真ん中には大きく「辞任」という文字が。二人セットで記事を合わせ技にすることで「なんだかなぁ」という空気が紙面からうまく出ていたのである。
ちなみに蓮舫氏が「センスない」というくだりはここ。
《昨年9月、党で初の女性代表に就任してまだ10カ月だ。今は安倍政権が揺らぎ、野党第1党として攻め時。都議選直後の辞任なら新体制の構築は早かった。党内の空気と向き合わなかったツケが党にも及び、「センスがない」との嘆きも出る。》
もしかしたら蓮舫氏が「センスがない」のは、昨年の都知事選で証明されていたのかもしれない。
嗅覚がなくて、「ワル」にもなれなかった人
もちろん蓮舫氏が都知事選ではなく民進党の党代表を目指したことは何も悪くない。「将来、総理になりたい私がなぜ都知事に?」と正論をまっすぐ言われたら誰も言葉を返せない。
しかし世の中には「将来、総理になりたいから都知事選に出る」という人だっているのである。たぶん。
そういう狡猾な選択のほうが政治家としての嗅覚を見せつけられる場合もある。周囲も我々も「おぬしもワルよのぉ」ぐらいしか言えなくなるのだ。「劇場」をたっぷり見せられながら。
それに比べると蓮舫氏は普通だった。それが「センスがない(=嗅覚がない)」にもつながるのではないか。
たとえば今回の代表辞任もそうだ。都議選の翌日にすぐさま辞任表明すれば、
「悪いのは蓮舫代表だけなのか」「蓮舫の潔さにくらべて稲田ときたら……」という論調が出たであろう。
そんな判断を見せつけたら「おぬしもワルよのぉ」感が蓮舫氏にも出たはずだ。
しかし現実は「あの」稲田氏と同じ日に辞任。結果的によくないイメージを割り勘してしまった。勝負勘がないと言われても仕方がない。
政治とはタイミングも重要……。そう感じたこの1年の蓮舫氏の振り返りでした。