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2020/02/24

ロシア人アーティストが語った“動機”

「記事」はロシア人の反体制アーティスト、ピョートル・パブレンスキー容疑者(35)によるもので、「pornopolitique.com」も彼が昨年11月にカナダで登録したものである。

 パブレンスキー容疑者は、ロシア反体制女性運動のプッシー・ライオットを支持して表現の自由を守るとして口を縫ったり、モスクワの赤の広場の地面に睾丸を打ち付けるなど過激な行動で知られる。ロシアの女優への暴行容疑をかけられ、当局による濡れ衣だとして2016年12月にフランスに逃げ、5カ月後に政治亡命を認められた。彼はそれ以来パリに住んでいる。2017年に、バスティーユ広場のフランス銀行の支店に放火、1年の実刑を宣告されている。

ピョートル・パブレンスキー ©AP/AFLO

 情報が拡散していった後の13日夜、パブレンスキー容疑者は「リベラシオン」の編集部に自ら電話して作者であることを認め、「別にどんな性的嗜好を持っていてもいい、動物としたってかまわない。彼(グリボー)は家庭の良い父親のふりをしている偽善者だ。彼はパリ市長になろうとしている。選挙民に嘘をついている」と動機を語った。

グリボー氏は「プライバシーの侵害」

 グリボー氏は、早速警察に告発。ただし動画の捏造ではなく、「プライバシーの侵害」と「同意なしに性的な内容の動画を公開」されたという訴えだ。

 相手の女性については分からないように加工されていたが、警察当局は、16日にパブレンスキー容疑者と、交際相手であるフランス人のアレクサンドラ・ドタデオ容疑者(29)をわいせつ動画に関する取り調べのため拘束。

 パブレンスキー容疑者は15日に別件で逮捕されており、グリボー氏から動画を受け取ったとされる当時学生だったドタデオ容疑者も、プライバシーの侵害および同意なしに性的な内容の動画を公開した疑いで逮捕されている。

「パリジャン」によれば、ドタデオ容疑者とグリボー氏は2018年にフェイスブックとインスタグラムでつながり、政治の話をしているうちに関係を持った。

©iStock.com

 司法監督中のパブレンスキー容疑者は、CNNや「パリ・マッチ」、「ルモンド」、「パリジャン」などに登場し、ドタデオ容疑者に無断で動画を盗み、流したものだと語っている。これはドタデオ容疑者の自白とも符合している。

 確かに、ドタデオ容疑者とグリボー氏が関係を持った頃、パブレンスキー容疑者はフランス銀行放火事件で服役中で、二人が同居するようになったのは、出所してからしばらく後である。

 ただしドタデオ容疑者は、パブレンスキー容疑者についての論文を書いており、服役中に文通を開始していた。また動画は数秒後に消去されるものであったが、画面のキャプチャーによって残された。わざわざ残し、2年後の選挙に合わせて公開されたことから、パブレンスキー容疑者の指示や組織的な背景の疑いも拭いきれない。