1カ月後に迫ったパリ市長選、与党「共和国前進」の候補バンジャマン・グリボー氏(42)が不倫スキャンダルで出馬を断念した。しかもグリボー氏は、マクロン大統領の側近中の側近で、政府報道官を務めていたが、パリ市長選出馬のために早々に辞任し、満を持して準備に入っていた。
わいせつ動画のスクリーンショットが
事の発端は、2月12日、グリボー氏についての「記事」が「pornopolitique.com」というサイトにアップされたことだった。暴露されたのは動画と、SNSでグリボー氏のものとされるアカウントと彼の妻ではない女性のアカウントの間で交わされた一連のやり取りだ。そこには、あられもない姿をさらしたわいせつ動画のスクリーンショットがあった。これにグリボー氏が家庭の大切さや良き父親であることを語るインタビュー動画の断片が組み合わされている。
もっとも、このサイトはきわめてマイナーなもので、アクセスが集中していたわけではなかった。ところが、翌13日の午後6時15分に、日本の衆議院にあたる国民議会のジョアキム・ソン=フォルジェ議員(36)が、約6万人のフォロワーがいる同議員のツイッターで共有したことをきっかけに、一気に広がった。「ル・フィガロ」によれば、動画へのアクセスがその後3万回に、翌朝8時20分には20万回、午後には100万回に上った。
ソン=フォルジェ議員は、「このような誹謗中傷はパリの選挙戦において、非常に深刻であり、この情けないバンジャマン・グリボーと若い女性を非難する性的な動画が関係者から否定されることを願っている」とツイートし、様々なメディアの取材に対しても「グリボー氏は罠にかかった。フランスを破壊しようとしている人物の危険さを知らせたかった。また、数々の若い女性がこのサイトを立ち上げた男とコンタクトを取っていて、道具にされている」と語っている。
同議員は元社会党の活動家で、2017年に共和国前進に移った。ところが、2018年12月末、EELV(エコロジスト)の女性元老院議員を揶揄した性差別的なツイートが物議を醸し、党内懲罰の前に離党したといういわくつきの議員である。しかし、彼はサイトを共有しただけであった。