1ページ目から読む
2/2ページ目
画家は急逝。絵だけが残った
小さいころから絵を観たり描いたりするのが好きだった黒坂は、美大に進み油絵を学んだ。いったん就職するも2年ほどで退社し、集中的に絵を描きはじめる。個展などをおこなうと同時に、イラストレーションの仕事も多く手がけた。
絵で表現することを生業にしてみると、どこにも正解なんてない、すべてを自分で決定していくことのたいへんさに直面したが、そこにまたおもしろさもあると気づき、描くことをたゆまず続けてきた。
けれどその歩みは、昨年になって途絶えた。若くして帰らぬ人になったのだ。
それでも絵は残った。遺作展となる今展で、ひとりのアーティストがたしかに見ていた風景を共有したい。