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 今回の控訴審の裁判長は、小川秀樹氏。法務省への出向経験が長く、民事局総務課長や民事局長も務めた民事法制のプロだ。同省では、検察官が務めることが多い秘書課長も務めており、人柄も評価が高い。そんな小川氏が裁判長を務めた以上、法律判断としては極めて手堅いオーソドックスな判決といえるだろう。

最高裁判所 ©AFLO

 であるなら、通常、最高裁で今回の判断が覆るとは考えにくいのかもしれない。しかし、最高裁の裁判官15人は、裁判官以外に検察官、弁護士、行政官、学者で構成されており、その判断は1、2審に比べて法的ロジック一辺倒ではなく、国際的風潮や社会の世論に敏感だといわれている。

 その最高裁自身、15年には選択的夫婦別姓を採用していない現行制度について「合憲」と判断している。それからまだ5年。今回の上告審で最高裁が一転して「違憲」と判断するには、まだ間隔が短いとの分析もある。しかし、15年の判断後、最高裁では選択的夫婦別姓に賛成する人たちに「朗報」ともいえる人事が相次いだ。

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判決文などに結婚前の「旧姓」を使用する宮崎判事

宮崎裕子氏 ©時事通信社

 最初の人事は、18年1月に宮崎裕子氏が最高裁判事に就任したことだ。宮崎氏は弁護士出身。ハーバード・ロー・スクール修了という国際的なキャリアを持ち、東京大や京都大で客員教授も務めている。

 その宮崎氏、就任会見で最高裁判事としては初めて判決文などに結婚前の「旧姓」を使用することを明らかにした。「旧姓使用」は「夫婦別姓」と同一ではないが、仕事上は夫婦別姓になるという意味で親和性の高いキーワードといえる。

 宮崎氏はまた、会見で記者から夫婦別姓の是非を問われ「選択的別姓であれば全く問題ない。価値観が多様化している現代では、可能な限り選択肢を用意することが重要だ」と明言し、選択的夫婦別姓を肯定してみせた。夫婦別姓を求める人たちにとって、この発言のインパクトは大きかった。