文春オンライン

「コンサート中止で3月の収入もゼロ」 新型コロナで“貧困”に苦しむイベントスタッフ、演奏家

2020/03/16
note

「来年以降もお先真っ暗なんですよ」

――今現在は、どのように生活をしていますか?

塚本 スーパーのアルバイトを続けつつ、短期で入れるバイトをしています。いつもトランペットの練習に使っていたスタジオも営業していないので、練習場所もないんですよ。ひとり暮らしをしているため、家賃もかかるし食費もかかる。音楽以外の仕事で稼ぐしかないです。

 でも、一番ツラいのはオーケストラのオーディションがないこと。私のようなフリーランス演奏家の多くは、オーケストラへの所属を目指して活動しているのですが、私の場合は、オーケストラのオーディション予定はありません。今年のオーディションが新型コロナのせいでなくなれば、来年以降もオーケストラに所属するチャンスすらもらえないということ。たとえ新型コロナが今年中に収束しても、フリーランスの演奏家にとっては来年以降もお先真っ暗なんですよ。

ADVERTISEMENT

©iStock.com

――大阪のライブハウスで感染者が出て話題になってますが、影響はありますか?

塚本 大打撃です! 3月末に小さな演奏会に出演する予定なのですが、当初は前売り1000円、当日1500円でチケットを売っていました。でも、大阪のライブハウスで感染者が出て以降、風評被害で集客ができなくなってしまったんです。急きょ前売り券を無料にして当日券は500円に大幅に値下げしました。でも、ライブハウスはチケットノルマがあるので、赤字分は出演者が補填しなければなりません。ボランティアどころか、お金を払ってみなさんに演奏を聞いてもらう状況です。

 ただ、私のように自腹を切ってでも自分たちの演奏を聞いてもらいたい、という演奏家はたくさんいると思いますよ。

塚本奈々さん ©真島加代/清談社

 前出の中田さんは「ゴールデンウィークまでは現在の自粛ムードは続くのでは」と予想している。実際、政府は3月10日の対策本部で大規模イベントの自粛要請を10日間程度引き伸ばし、引き続き不要不急の外出を避けるように呼びかけている。新型コロナに翻弄されるエンタメ業界に、活路はあるのか。

新型コロナで「最初に切り捨てられる……」 着ぐるみキャスト、風俗嬢が思い悩む“明日のお金”〉に続く

「コンサート中止で3月の収入もゼロ」 新型コロナで“貧困”に苦しむイベントスタッフ、演奏家

X(旧Twitter)をフォローして最新記事をいち早く読もう

文春オンラインをフォロー