2月、新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大を防ぐために、政府の専門家会議は「不要不急の外出」を控えるように呼びかけた。「不要不急」という言葉が話題になったものの、どう行動するかの判断は個人任せ、というあやふやな状況が続き、様々な業種の人が打撃を受けている。着ぐるみキャストと風俗嬢に話を聞いた(取材・文=真島加代/清談社)。
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「新生活の予定がめちゃくちゃになっちゃいました」
ダンサーや役者として活躍する町田尚美さん(仮名・22歳)。彼女は、この春から某人気テーマパークで着ぐるみキャストとして働く予定だったが、新型コロナの感染拡大防止のためにテーマパークが休業してしまい、現在は自宅待機中だという。町田さんは「新生活の予定がめちゃくちゃになっちゃいました」と、力なく笑う。
――テーマパークの着ぐるみキャストのお仕事について教えてください。
町田尚美さん(以下、町田) 個人事業主としてパークの運営会社から業務を委託され、着ぐるみに入って接客をする仕事です。研修があと3日で終わる、というタイミングで休業が発表されました。私たちへの通達よりも、SNS上の公式発表のほうが早かったのはびっくりしましたね(笑)。
当初の予定では、2月末にデビューするはずだったのですが、デビュー直前で休業になってしまったんです。本来、デビュー前のキャストは給料が発生しない契約だったのでお金がもらえない可能性がありましたが、今回は特例で研修中の賃金をもらえることになりました。
――どれくらいの金額を受け取れるんですか?
町田 日給3000円で11日間の研修に出たので、3万3000円もらえます。高校生のアルバイトレベルですよね……。研修分だけでも配慮してもらえたのはありがたいのですが、個人事業主扱いなので運営会社の福利厚生も受けられません。このまま休業が延びるとデビューもできていないから、出勤分のお給料はもらえないです。