「現行の検疫法は、ダイヤモンド・プリンセス号のように数千人が乗る大型クルーズ船での大規模感染を想定していません。検疫法に基づき、14日間とされる潜伏期間後に乗客を下船させましたが、船内検査で陰性だった人でも下船後に陽性と診断された人が出てしまいました。検疫法が制定された昭和26年頃に想定されていたのは、せいぜい小規模な船での集団感染が発生したケース程度でしょうから、対応できなかったのはやむをえません」
自民党にも責任がある
櫻井氏は、新型コロナウイルスを受けて、新たな法体系を整備することが急務だと語る。
「当時、与党だった民主党の責任が大きいのはもちろんですが、その後を受け継いだ自民党にも責任があります。時代の変化に応じて、日本国の仕組みを変えることができなかったのは、まさに不作為の罪です。国民の命を守るべき国家としては決定的な落ち度といえます。今後に向けて欠かせないのは、第一に、新たな感染症発生に対処できる法体系を作ることです。2009年当時のように何の法改正も行わずに、騒ぎが終わったら忘れてしまってはならないと思います」
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「文藝春秋」4月号と「文藝春秋 電子版」に掲載した「安倍総理よ、『国民を守る』原点に帰れ」では、櫻井氏が、新型コロナウイルスで露呈した日本という国家の問題点を指摘し、その改善策や国難に直面している日本人に対するメッセージを詳述している。
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安倍総理よ、「国民を守る」原点に帰れ