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無観客の甲子園でデビュー 阪神の“未知の大砲”井上広大が手にした収穫

文春野球コラム2020 開幕延期を考える

2020/03/14
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 先日、スポニチ虎番記者として発信したツイートが少しだけバズった。添えていたのは、野手陣がグラウンド上に集まりコーチの話に耳を傾けている様子をスマートフォンで撮影した1枚の写真。遠い距離からで選手の顔もはっきり写っておらず、クオリティーとしては低いものだったが、そこにはタイガースファンの心をくすぐる事実が潜んでいた。

「井上くん18歳……これからの伸びしろ考えると……ヒョエー!」「ホンマにデカイ」「2軍で素晴らしいバッティング見たのでわくわくしています」

 フォロワーの反応はワクワク感に満ちあふれていた。「超人」と称され筋骨隆々、チーム随一のボディーを誇る糸井嘉男の隣にたまたま並んでいたのは高卒1年目の井上広大。“ぱっと見”ながらバリバリの主力選手に全く見劣りしない18歳の恵まれた体躯が、見る者の想像力をかき立てた。3月7日、本拠地の甲子園球場で日本ハムとのオープン戦が行われたこの日、同じ高卒ルーキーの遠藤成とともに1軍に合流。期待の高さと比例するようにツイートに対する「いいね」の数は積み重なった。

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無観客の甲子園でデビューした“未知の大砲”

 大阪の強豪、履正社高校の主砲として活躍し昨秋のドラフト2位指名で入団。1位の西純矢、3位の及川雅貴ら上位5人までオール高校生指名で話題となった中、高校通算49本塁打を誇るスラッガーは、紛れもなく将来の主軸候補。虎党だけでなく、チームとしても待望久しい「右の大砲」のおでまし。そんな最上級の有望株が、初めて1軍の試合に出場する機会を得ただけで注目は集まる。さらに、まだ見ぬ井上への熱をヒートアップさせた大きな理由があった。

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