「宏池会の政権を作ることが私の最大の責務である以上、何としてでも岸田会長を総理総裁にして、保守本流の政治を担ってもらう。その時に菅さんは幹事長なのか、官房長官なのか。いずれにしても、菅さんの力を引き続き国政で生かして頂きたいと思っています」

「文藝春秋」4月号のインタビューで、そう語ったのは、古賀誠元幹事長(79)。コロナ問題などの対応を巡り、安倍政権への批判が高まる中、この発言が永田町で波紋を広げている。

古賀誠氏 ©文藝春秋

 古賀氏と言えば、宏池会名誉会長で、派閥の現会長である岸田文雄政調会長の後見人という立場だ。ただ、昨年8月には、BSフジの報道番組で「いくら(安倍晋三首相からの)禅譲といっても『つくしの坊や』じゃないが、ポキッと折れたら何もない」と、岸田氏について厳しい評価を下していた。

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記事について質問を受けた岸田氏と菅氏は……

 他方で、古賀氏は菅義偉官房長官とも太いパイプを持っていることで知られる。同じ番組では、菅氏を「政権を担ってもらいたい」と持ち上げるなど、ポスト安倍の有力候補として挙げていた。

 その古賀氏が今回、明確に岸田氏を総理候補に推し、菅氏には、岸田氏を支える官房長官や幹事長などの要職を担ってもらいたい、という見解を示したのだ。

岸田政調会長 ©文藝春秋

 雑誌発売翌日の3月11日、記者団から記事について尋ねられた岸田氏は、「古賀氏からそういった話を直接聞いたこともない。政治家として成長できるよう努力を続けていきたい」などと回答。一方の菅氏も、同じ日の官房長官会見で「安倍政権はまだ1年数カ月残している」と述べるにとどめ、質問をかわした形だ。

 古賀氏の中で、岸田氏への評価はなぜ、いつ変わったのか。「文藝春秋」のインタビューの中では、こう語っている。

「あの頃(昨年8月の『つくしの坊や』発言の頃)はまだ、総理総裁を目指していくという決意、宏池会の会長として保守本流を担っていくという自覚と責任が明確には見えてこなかった。しかし、そこから少しずつ次の総裁選に立候補するという心構えが出てきたように映りますし、ご自分の考えなども率直に仰っているように思います」