「腎機能が低下してしまって、昨年の2月から遂に人工透析だよ。週3日、病院で3時間か3時間半かけてやっている。『大変ですね』とよく言われるけれど、透析をしている時間は“休養”みたいなものなんです。どんなに前の日にオーバーワークしても、透析しながら3時間もグーグー寝れば、元気になる。ものは考えようだよ」
「文藝春秋」3月号のインタビューで、そう語るのは、東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長(82)。大会運営の舵取りという重責を担う森氏だが、その体は満身創痍だ。2015年には肺がんを患い、医師から余命宣告を受けたこともあった。
「いつ倒れてもいつ死んでもおかしくない。だから、残りの人生、オリンピックのため、日本のために奉仕する。これが今の生きがいなんです」
小池都知事の“激怒”は「パフォーマンスですよ」
東京五輪・パラリンピックの開幕まで残り半年を切った。だが、まだ幾つかの課題が残っている。その1つが、昨年10月に急遽決まったマラソンコースの札幌移転問題だろう。
「まだ生々しいから話しにくいんだけど……これもきちんとした経緯があるんです。あの時、小池百合子都知事が『最後に知らされた』なんて怒っておられましたが、彼女のパフォーマンスですよ」
そう切り出した森氏。IOCのバッハ会長、コーツ調整委員長から緊急の連絡を受け、安倍晋三首相や菅義偉官房長官、北海道の関係者らに水面下で根回しを重ねた経緯を詳細に明かした。小池都知事にも事情を丁寧に説明したという。
「もちろん私でなきゃできなかった、とは言わない。ただ、バッハやコーツ、政府や党、議会などへは電話で話ができる関係がないと、まとめることはできなかったでしょうね」
一方、東京五輪・パラリンピックが終われば、永田町では「ポスト安倍」を巡るレースがいよいよ本格化していく。安倍首相の総裁任期が切れるのは、2021年9月。首相の4選論や、岸田文雄政調会長への禅譲説なども取り沙汰されているが、森氏はどう見ているのだろうか。