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 このため、ある指定暴力団幹部は今回の「大量破門」について、次のように意図を解説する。

「大量の処分者を出したということは、この処分者たちが半年後、1年後ぐらいにデカい仕事をするかもしれないということ。大きな仕事とはもちろん、神戸(山口組)側に対する事件を起こすということ」

「大量破門」の真意は?

 昨年10月に高山が府中刑務所を出所して以降、各地で神戸山口組との間で対立抗争事件が相次ぐ中で、11月に兵庫県尼崎市で発生した神戸山口組幹部が自動小銃M16で射殺された事件は大きな衝撃を持って受け止められた。

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尼崎の事件後、関係者に流出した写真には現場に残された自動小銃とみられる凶器が写っていた

 その"ヒットマン"も、事件に先駆けて一昨年12月の時点で破門状を出されていた。事件発覚後に無関係であることを主張するためとみられる。

 先の警察庁組織犯罪対策部幹部も今回の「大量破門」について、「事件をやらせようとする者たちを事前に処分しておくことで、組織から切り離しておくという意図かもしれない。偽装破門ということだろう」との見方を示している。

神戸山口組幹部を射殺した朝比奈久徳についての「破門状」

 しかし同時に、次のような見方も示す。

「破門だ、除籍だと業界に通知してしまうと、逆に(事件を)やりにくい面もあるのではないか。ただ単に、神戸山口組側の構成員との個人的な付き合いがあり、交流を断ち切らない者たちを見せしめ的に処分したのかもしれない。処分者を大量に出したことをわざわざ通知して、『この者たちは何をするか分からない』と神戸側を威迫する意図があるとも考えられる」

 別の警察庁幹部は、3月4日に東京高裁で判決が出た稲川会系組員らによる特殊詐欺事件の影響ではないかと指摘する。

 この裁判は、特殊詐欺の被害者が暴力団対策法に基づき、稲川会元会長の清田次郎に約2800万円の損害賠償を求めており、判決では約1600万円の賠償を認めた。

「多くの処分者を出したのは、いずれ弘道会でも特殊詐欺事件で賠償請求訴訟を起こされた場合に、詐欺に関与していた組員たちは組織とは無関係と主張するためということも考えられる」