“育成豊作年”と言われることになった2017年育成ドラフト。

 この年、育成で入団した6選手中4選手が支配下登録を勝ち取り、1軍でプレーする権利を持つ“プロ野球選手”として羽ばたきました。

 まずその夢をつかんだのは、育成ドラフト4位入団の大竹耕太郎投手でした。クレバーなピッチング同様、自身のやるべきことをしっかり考えてストイックに取り組んだ左腕は、2018年7月に支配下登録を勝ち取りました。同2位の周東佑京選手は俊足を武器に、2019年シーズン開幕前に2桁の背番号を手に入れました。そして、大卒コンビの背中を追うように今月16日、育成1位の尾形崇斗投手と同3位のリチャード選手も、晴れてその仲間入りを果たしたのでした。

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尾形投手とリチャード選手の支配下登録会見 ©上杉あずさ

“全員支配下! 全員1軍!”を叶えたい

「育成同期が4人も支配下登録されるなんてスゴい」

 千賀滉大投手、甲斐拓也捕手、牧原大成選手を輩出した2010年以来の神ドラフトなんて声も聞こえてきます。しかし、そんな中で必死にもがいている選手はまだいます。

「あとは俺たちだけだぞ」

 そう話し合い、決意を強くした2人。それが2017年育成ドラフト5位の日暮矢麻人(ひぐらしやまと)外野手と同6位の渡邉雄大(わたなべゆうた)投手です。悔しい気持ちを抱きながらも、育成同期たちが巣立っていく姿を笑顔で見届けました。

 渡邉投手は「尾形もリチャードも3軍で一緒に頑張ってきたし、試行錯誤する姿を見てきたので嬉しいです。僕も(支配下に)上がりたいと思いました」とまっすぐな瞳で語りました。2人の努力が実を結ぶところを目の当たりにしたことで、大きな刺激を受けていました。

 日暮選手も「悔しい気持ちもあるけど、嬉しいです。自分もやってやる!って思いました」と意気込んでいました。更に、こう続けました。

「ホークスの育成ドラフトの歴史の中で、全員が支配下になったことって今までにないですよね。僕たちも頑張って“全員支配下! 全員1軍!”を叶えたいです」

 2人が発した言葉はとても前向きなものばかりでした。取り残された空虚感やモヤモヤした気持ちに苛まれているのではないかと気がかりでしたが、彼らの話を聞いてむしろ胸が熱くなりました。