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「頼ることは恥ずかしいことじゃない」 朝ドラ「エール」“藤堂先生”が放った5つの名言

2020/04/08
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森山直太朗の妙演としか言いようのない演技と佇まい

 レコードや楽譜を彼に買い与える父親の古山三郎(唐沢寿明)が該当しそうだが、彼はなんとも呑気で頼りない。こちらが悶々としている間に第3話(4月1日放送)では、裕一は教師に平手打ちされ、気合いでなんとかしろと責められる。「ちょっとコレ、さすがにどうにかならないの……」と胃がキューッとなっているところに現れるのが藤堂先生。「言葉の詰まりは本人の気合いの問題じゃない!」と平手した教師を一喝、「僕と君、同じ顔をしているか? 歩く速さも違う。話し方も違う。違いを気にするな」と裕一を全肯定するので救われた。

森山直太朗 ©文藝春秋

 また、演じる森山直太朗がまさに妙演としか言いようのない演技と佇まいを見せてくれる。「劇中にも度々出てくるオルガンやハーモニカを奏でるように、スタッフや出演者の皆さんと一つ一つ感情を積み上げていけたらと思います」という出演にあたってのコメントの通り、“演じています!”みたいな圧を放つことなく、時に熱く、時に優しげに裕一を見守る姿を絶妙な塩梅で体現しているのだ。

連続テレビ小説「エール」公式アカウントより

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 運動会の競走で思いっきりコケて立ち上がれない裕一の姿を目にしても言葉で叱咤激励せず、顧問を務めるハーモニカ部の演奏で奮い立たせ、ゴールの向こうで待ち構えて倒れ込む彼をキャッチする。初登場する第3話で裕一をここまでフォローしまくる藤堂先生に観ているコチラもハートを鷲掴みにされてしまうと共に、裕一に“エールを送る第一の人物”こそ彼なのだと確信してさらにこみ上げてきてしまった。

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