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30万円給付の波紋 お金のプロが答える「日本のコロナ補償は正解?不正解?」4つの疑問

なぜ「条件付き」での給付になってしまうのか

2020/04/08
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疑問4)「全世帯への現金支給」はすべきだったのか?

 さて、日本人にはどれくらいの貯蓄があるでしょうか。総務省の家計調査(2人以上の世帯のうち負債保有世帯, 2018年)から見ると、40歳未満の貯蓄現在高は585万円(負債2029万円)、40~49歳は同880万円(1689万円)、50~59歳は同1428万円(1277万円)、60歳以上は同1530万円(794万円)です。負債保有世帯の割合は40歳未満で61.5%、40~49歳で65.4%、50~59歳で53.5%と60歳未満の負債保有率は高いです。

 若い世代は貯金もあるものの、住宅ローンなど債務が多く、債務超過になっているのが分かります。ただし、多くの家庭は当面の生活費を貯金しており、直ちに生活ができなくなる世帯は限られています。(https://www.stat.go.jp/data/sav/sokuhou/nen/pdf/2018_gai4.pdf

 

 また、国民皆保険で多くの人が安価な価格で医療を受けることができます。そのために、当面の生活費に困っていない世帯にも現金支給をすると、貯金に回される可能性があります。本当に必要な人に絞るために対象制限をしたのでしょう。全国民に配布すると、一世帯当たりの支給額が少なくなってしまいます。

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「完全ロックダウン」にならなかった日本は恵まれている?

 日本は緊急事態宣言を発令したものの、海外で行われているロックダウン状態にはなりません。都市封鎖もせず、公共の交通機関も動いたままです。イベントやバーやナイトクラブなど一部のセクターでの営業の自粛などになります。電車での通勤を禁止している企業もあり、自宅待機の人も増えるでしょう。

 しかし、あくまでも要請ベースです。完全ロックダウンではなく、少しでも経済を回していけるのでやはり恵まれていると言えます。家族以外とは人とも会うことが許されない国や地域もあり、違反をすれば罰則も伴う場合もあります。必要な時には買い物にも行け、デリバリーを注文することもできるのです。

新型コロナウイルス感染拡大によりデリバリーサービスの需要は増加しているという ©iStock.com
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