昭和34年(1959年)創刊の総合週刊誌「週刊文春」の紹介サイトです。最新号やバックナンバーから、いくつか記事を掲載していきます。各号の目次や定期購読のご案内も掲載しています。

2020/04/08

 1世帯あたり30万円の現金給付の条件となっている、「住民税非課税世帯」とは実際にどのような世帯なのでしょうか。例えば、単身世帯の場合、月収8万円程度の“相対的貧困世帯”となります。つまり、共働きで片方が失業をしていたとしても、所得制限等で給付がもらえない可能性もあるのです。

 なぜこんなに条件付きになってしまうのでしょうか。日本は解雇規制が厳しいので雇用主になんとかして欲しいという名目もあるのでしょう。実際に、条件を考慮すると、大企業に雇用をされている人の多くは給付の対象にはなりません。なので、今月の資金繰りに困っている中小・小規模事業者、個人事業主、相対的貧困世帯などへの救済となります。

 海外では雇用の流動性はある分、非常時にはあっという間に職を失ってしまいます。アメリカでは2週間でおよそ1000万人が職を失いました。シンガポールでも外国人に対しては補償が少なく、私の知り合いでも夫婦のうち片方が職を失っている人がいました。その人は子供が2人いて、今はオンライン学習のサポートに忙しいのでそれに集中したいと言っていました。海外では雇用を守ることを前提とした企業への助成がないと労働者はすぐに路頭に迷ってしまうのです。

 また、アメリカでは保険に加入していない人や補償が不十分な人が何千万人といるため、病気になることが経済的な破綻に直結しかねません。アメリカだけに限らず、医療費自体が日本より高く、自己負担額も高い国は多いのです。日本の医療制度は世界的にみても優れており、安価でよい医療を受けることができるのです。

オーストラリアでは、センターリンク(失業手当など政府手当を管轄する)に失業者ら殺到した ©AFLO

疑問3)海外と比べて「日本のコロナ補償」は充分と言えるのか

 次にOECD諸国の貯蓄率から各国の貯蓄状況をみていきましょう。貯蓄率はその国の国力を反映するとも言います。中国、韓国、ロシアなどの貯蓄率はGDP比で二桁台と高く、イギリス、イタリア、アメリカ、フランス、日本、スペインなどの貯蓄率はマイナスもしくは一桁台と極めて悪い数字です。(https://data.oecd.org/natincome/saving-rate.htm

 皮肉にも新型コロナウイルスの対策に苦戦している国の貯蓄率の低さと、対策に余裕がある国の貯蓄率の高さの差が際立ちます。

 

 さらに、65%のアメリカ人が貯金ゼロもしくは少ししかないという調査結果があります。19%が貯金ゼロ、21%が年収の5%、25%が年収の6-10%の貯金しかないという衝撃的なデータです。
https://www.cnbc.com/2018/03/15/bankrate-65-percent-of-americans-save-little-or-nothing.html

 シンガポールでも外国人労働者の寮からクラスターが発生し、そのエリアが隔離となりましたが、隔離期間中も政府が食事や所得などを補償します。海外では移民や貧困問題も深刻で、ネットに繋がっていない層もいます。それを考えると日本は恵まれていると言えるでしょう。