新型コロナウイルスが世界中で爆発的に流行し、各国が金融政策とともに大幅な財政政策を出しています。安倍首相は108兆円規模の緊急対策を実施すると表明しましたが、その詳細に疑問符も多く出ています。また、海外ではすでに給付金を受け取っている国も多いなか、「対応が遅いのではないか?」という意見もあります。

 この日本のコロナ補償ですが、ここでは「各国の対策はどうなっているのか」「日本の補償は充分と言えるのか」など、4つの疑問点とともに検証してみましょう。

4月7日、安倍晋三首相は緊急事態宣言を発令した ©Getty

疑問1)各国のコロナ対策はどうなっているのか

 感染拡大が深刻化するアメリカでは日本円でおよそ220兆円の景気刺激策が決まり、1人あたり最大13万円の現金給付や航空会社など企業への支援などに当てられます。

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 新型コロナウイルスの感染者数が世界2位に達したスペインは、経済の立て直しに向け、可能な限り迅速に「ユニバーサル・ベーシック・インカム(最低所得保障制度)」制度を導入することを発表しました。

 1ヶ月間に渡る出勤規制が行われているシンガポールでは、日本円で約4万5000円が21歳以上の国民全員に4月中に支給されます。新型コロナウイルスの影響で失業をした人や一定の所得を失った人には一時金として、さらに約3万8000円が手当されます(諸要件あり)。その他にも雇用サポートとして、給料の最大で約35万円の75%(約26万円)を国が助成します。企業向けにも支援があり、モールに入っているテナントの家賃を最大1ヶ月なくします。これまでに約4兆5600億円に及ぶ予算をつけており、約570万人の人口から考えると巨大な金額です。

疑問2)なぜ日本は「条件付き」での給付になってしまうのか

 これに対して日本では1世帯あたり30万円の現金給付については、住民税非課税世帯や感染症が発生する前に比べて月収が5割程度下がった世帯(所得制限ありで、住民税非課税世帯水準の2倍以下)など対象を限定しています。さらに、子育て世帯を支援するため、児童手当の受給世帯に対し、臨時特別給付金として児童1人あたり1万円を上乗せする予定です。

 事業者向けには感染拡大の収束後、観光業やイベント事業などを支援するため、消費者にクーポン券などを付与するキャンペーンの実施。また従業員の一時的な帰休などを進める雇用調整を進める企業を支援する「雇用調整助成金」に特例を設け、拡充します。助成率を上げ、非正規社員も対象です。客室乗務員の8割を一時帰休することを決定した航空会社・ANAホールディングスもこの制度を利用するようです。

ANA、客室乗務員8割が一時帰休 6400人、最長1年間
https://www.aviationwire.jp/archives/199645

 中小企業などを対象にした給付金については、売り上げが半減するなどして事業の継続が難しい場合、中小・小規模事業者などに200万円を、フリーランスを含む個人事業主には100万円を、それぞれ上限に給付する予定です。

いつもは賑わう新宿の歌舞伎町周辺も人がいない ©Getty