「国民情緒法」という言葉でしか説明がつかない
判事が言った「国民も共感」とは何なのか。
韓国には「国民情緒法」という言葉がある。世論が判決に影響を及ぼす、という意味で“皮肉”として使われる言葉だ。今回の判決、もはやこの「国民情緒法」でしか説明がつきにくい。
ただ、今回日本であまり報じられていない点は、ほかならぬ韓国人がこの判決に「疑問」を呈したことだ。
最大のポータルサイト「NAVER」に、国内最大の通信社「聯合ニュース」の記事が配信された。
「日領事館 奇襲デモ7名が宣告猶予…裁判所『国民も共感』」
いわば、一番の“ストレートニュース”だ。
「今や大韓民国は法さえも必要ない後進国」
これに対し、コメント欄でリアクションの多かったものを順に挙げる。以下のとおりだ。
「頭おかしいね。そんなテロ犯を“宣告猶予”? だから韓国はおかしいって言われる」
「屁みたいな話。裁判所がどうやったらこんな判決を下すのか。こんなやりかただったら日本以外の国も領事館に対する礼を欠くと見るだろ? ああホントに。目の前のことばかり考えずに、周囲をちゃんとみろって。政府も国民も」
「類似の法治国家の水準を見てみろって。これこそ未開、未開だ」
「中国領事館、もし北朝鮮領事館が存在したとして、侵入しても無実ということだなーーーー笑。判決甘すぎ」
「今や大韓民国は法さえも必要ない後進国(笑)。感情国家」
発言しているのは主に、左派団体とは違う考えを持つ「保守・右派」だろう。90年代中盤から発展した韓国のインターネット言論は当初、左派が圧倒的な強さを見せたが、2010年代中盤から右派が台頭している。
こういうニュースが出ると日本では「韓国けしからん論」が盛り上がるが、たいていは韓国国内でも批判・反省の声が上がる。これもまた韓国関連のニュースの見方だ。今回の“実質無罪”は、この点で少しばかり溜飲を下げるしかないのだろうか。