4月2日、韓国の釜山地方裁判所で驚きの判決が下された。

「昨年7月に釜山日本領事館に侵入し、抗議行動を行った大学生に対し、罰金300万ウォン(日本円で約27万円)、2年間宣告猶予」

「宣告猶予」とは韓国独自の司法制度で、その期間違法行為をしなければ判決自体がなかったことになる。日本の「執行猶予」とは似て非なるものだ。つまり今回の判決は、「実質無罪」とも言える軽いものだったのだ。

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学生たちはどのように「侵入」したのか

 事件は昨年7月22日、左派系市民団体所属の学生7人が起こした。現行犯逮捕された学生らが在宅起訴された理由は「暴力行為など処罰に関する法律違反容疑(共同住居侵入)」。

 昨年の「ホワイト国除外」以降の「NOアベ」「ボイコットジャパン」の運動のなかで起きた過激行動の一環だ。

釜山・日本領事館(写真は本件発生時のものではありません) ©共同通信社

 しかし、実際の状況は“若者が反日運動の折、興奮極まって思わず日本公館突入”という話ではないらしい。団体とは別の動きで狡猾な仕掛けをしていたからだ。

 当日、学生らは午前11時、領事館入り口で身分証明書を提出し、領事館内の図書館に潜入。1~2時間で7人のメンバーが揃うのを待ち、さらに領事館外で30に及ぶ左派系市民団体の抗議活動が始まるのを待った。市民団体と警察との揉みあいが終わる頃に行動に出た。釜山警察署はこう発表している。

「領事館前の抗議活動の折、大学生7人が敷地内の広場に駆け出してきた。横170センチ、縦50センチの横断幕と“主権侵奪 アベ”と書かれたプラカードを掲げ、“日本は謝罪しろ”というコールを叫んだ。その後プラカードを領事館の壁にかけようとしたが失敗。領事館の外にプラカードを投げたが、領事館の外壁を越えることはできなかった」

 大学生は逮捕・起訴され、所属団体は「検察は国民の自尊心を守ろうとする大学生を狙う矛先をすぐに収めろ。無理な起訴を撤回しろ」と反発。当の学生たちは、法廷で涙を流しながら「謝罪を求めただけ」と証言したという。

「被告人たちの行動に国民も共感した」

 これに対し、釜山地方裁判所のプ・ドンシク判事はこういった内容の判決文を読み上げた。

写真はイメージです ©iStock.com

「被告人たちの行動に国民も共感した。しかし手続きに違反し、このような方法を取ることは後進的な方法であり、むしろ行動の意味が曲がって伝わりうる」

 続いて

「被告人たちは今回の機会を通じ、手続きの重要性を学んでほしい。社会進出を準備中である学生だという点などを判決に勘案した」