文氏が「少し座ってお話しましょう」と呼びかけた

徴用工判決問題を巡って韓国が日本に「対話」を強く求めている。

たとえば文在寅(ムン・ジェイン)大統領は11月4日、バンコクで開かれた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議の会場内で安倍晋三首相とソファに腰掛けて言葉を交わした。

写真=AA/時事通信フォト 日中韓や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国が参加する東アジア地域包括的経済連携(RCEP=アールセップ)首脳会議の記念撮影で並ぶ安倍晋三首相と韓国の文在寅大統領ら。タイ・バンコク近郊で11月4日。 - 写真=AA/時事通信フォト

会場の控室で安倍首相が文氏と握手をして挨拶した際、文氏が「少し座ってお話しましょう」と呼びかけ、安倍首相がこれに応じた。事前の準備はなく、2人の英語通訳だけが同席したという。日韓両政府とも「首脳会談」とはせず、日本政府は「言葉を交わした」、韓国大統領府は「歓談した」と説明した。

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元徴用工に対する賠償を日本企業に命じた昨年10月の韓国大法院(最高裁)の判決以来、正式な会談を調整できない状態が続いていた。座って話したのは、昨年9月のニューヨークでの日韓首脳会談以来である。

日韓関係の改善努力をアメリカに示したい

安倍首相と文氏の会話は11分間と短かったが、文氏は「私たちが申し上げていることが、解決策の全部ではない。いくつもの選択肢が考えられる。引き続いて話し合いたい」と語り、韓国側の窓口を大統領府の高官とする案も示した。

正式な首脳会談の実現につなげるために文氏の側近に対応させようというのだろう。

韓国は日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の失効が11月23日に迫り、アメリカから協定の維持を何度も求められている。今回、文氏が安倍首相と11分間、言葉を交わした裏には、日韓関係の改善に努めていることをアメリカに示す狙いがある。同盟国アメリカに対するポーズなのである。文氏はかなり困っているのだろう。

アメリカは「GSOMIA」の継続を強く求めている

アメリカは本気だ。真剣だ。北朝鮮がミサイル・核の開発を続けるなか、米国防総省は11月7日、エスパー国防長官が13日から韓国などアジア4カ国を歴訪すると発表した。韓国の鄭景斗(チョン・ギョンドゥ)国防相と会談し、GSOMIAの継続を強く求める方針だ。さらにスティルウェル米国務次官補も11月6日、韓国を訪問し、康京和(カン・ギョンファ)外相ら韓国政府高官に対し、協定の継続を要請した。