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ついに日本に歩み寄ってきた文在寅政権の本音

「日韓関係 融和ポーズに騙されるな」という見出しからして嫌韓調である。

書き出しも「『徴用工』判決問題をめぐる韓国の文在寅大統領や文喜相(ムン・ヒサン)国会議長の最近の言動を見ても、対日関係改善の熱意は薄いと思わざるを得ない」と韓国政府に手厳しい。

「一歩前進」とする毎日社説とは大きく違う。おなじニュースを取り上げても新聞社によって社説の内容は異なる。そこが社説を読み比べるおもしろさである。

産経社説は訴える。

「両首脳は訪問先のタイ・バンコク郊外のホテルで11分間言葉を交わした。着席しての対話は1年1カ月ぶりだ。持ちかけたのは文大統領だが韓国側が非を改めるという表明はなかった。単なる融和のポーズに騙されてはならない」

「韓国側が非を改めるという表明はなかった」とまで指摘するが、その根拠はどこにあるのだろうか。

韓国を攻撃するだけでは、先に進むことはできない

「来日した文議長は、昭和天皇と上皇陛下に対する重大な非礼、侮辱を公式謝罪することもなく、日韓の企業などから寄付を募って元徴用工に支給する法案を検討中だと触れて歩いた。問題点ばかりの『提案』に応じてはならない」

分からなくもないが、これもまた厳しい指摘と主張である。この産経社説を書いた論説委員はよほど韓国が嫌いなのだろう。

さらに産経社説は文議長の掲げる法案を真っ向から否定する。

「日本の朝鮮統治時代をめぐる相互の請求権は日韓の協定で『完全かつ最終的に解決』され、国交が正常化した。その交渉過程で韓国側は、個人補償は韓国政府の責任で行うと明言もしている。寄付も含め、日本側が金銭を支払う必要は毫もない」

産経社説はこうも書く。

「韓国がつくり出した国際法違反の状態は、足して二で割るような妥協で解決できる問題ではない。日本の一部メディアなどには日韓双方に歩み寄りを求める声がある。事の深刻さを理解せず、韓国による不法行為の被害者である日本の立場を踏まえない愚論だ」

一体、「日本の一部メディア」とはどこの媒体なのか。ケンカを売るなら、具体的に名前を挙げるべきだろう。

それになぜ「日韓双方に歩み寄り」を求めてはいけないのだろうか。ときには相手国の立場に立って考える余裕も、外交には必要だ。外交も人間と人間との対話である。対話にはバランス感覚が求められる。産経社説のように攻撃するだけでは、先に進むことはできまい。

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