「誰か、一斉休園と言ってくれ」と思った理由
お金のことを含め、どうなるかわからないが、子どもが元気ならもういいや。「休みます」と言ってホッとした。それがすべてだ。
そして今まさに、子どもをYouTube漬けにしながらこの原稿を書いているが、親も保育士も園も、「誰か、一斉休園と言ってくれ」という心境ではないかと思っていた。
預けざるを得ない医療・介護従事者などの家庭は除くとしても、「登園自粛」ではなく「休園」となれば、親は自動的に出社不可能になるだろう。当然、保育士さんだってお休みできるわけで、結果的に感染リスクを減らすことになる……なんてことを、保護者も園も、みんな分かっている。
でもお達しがない限り、保護者は生活のことを考え、子どもを預けて働かざるを得ないし、保育園側も開園せざるを得ないのが現状ではないだろうか。保育園の責任者の本音は、「リスクを考えて、職員をできるだけ出勤させたくない」だっただろうと想像する。
保育士、親の事情や思惑はさまざま
1カ月の休みに入る前日、一体みんなはどう思っているのかが気になって、知り合いの保育士さんや、友人に気持ちを聞いてみた。
ある保育士の先生は、「休園になったら仕方ないけど、生活(お金)の問題もあるから難しいですね」と言っていたのが印象的だった。保護者の中でも意見はわかれていて、「テレワークになったけど子どもがいたら仕事なんてできないよ。だから登園させてる」、「私も保育士だから、自分の子どもを休ませたいけど休ませられない。勤め先か預け先、どっちかの保育園が休園になってくれたらいいのにね」と話してくれた。
休みたいけど休めなかったり、休ませられるけど行かせていたり、お金の不安があったり、事情や思惑は本当にさまざま。
今、誰もが「安心」を求めている。でも、日常を変えなくてはいけない怖さを受け止めてくれる「安心」がない限り、一枚岩になるのは難しい。だからこそ、“休園する”と言ってくれ。そこからしか変われない人は多いのだ。