1ページ目から読む
3/4ページ目
犬や猫の体の表面に付着したウイルスに注意
──猫はどうですか? ベルギーで飼い主から猫への感染事例が報告されています。
野村 猫に関してはそこまではっきりしたことはいえません。ただ、猫には人間とは別の症状の出る猫コロナウイルスがあり、純血種などには不顕性感染(症状がまったく認められない感染)のコロナをもつ個体が多いのです。そういう猫が検査キットに反応した可能性が考えられるかもしれません。トラにも同じことがいえます。
そもそも犬や猫よりも豚や鳥のほうが人間と共通するウイルスが多いのです。人間に広がるウイルスで問題になるのはいつも豚や鳥です。それがなぜ今回は犬や猫なのか。もしかすると、そばにいる人が感染したことで犬や猫の体にウイルスが付着しただけかもしれません。そういう形でヒトから動物へ、動物からヒトへと広がる可能性はあります。
犬の散歩中に「撫でてもいいですか?」はNG
──むしろ犬や猫の体の表面に付着したウイルスにこそ気をつけるべきだと。
野村 いま各施設が店舗のドアやエレベータのボタンなど、多くの人が触れるものを神経質に消毒しています。しかし、意外と動物の体には注意が払われていません。飼い主さんには、犬を撫で回すのはもちろんのこと、一緒に寝たりお風呂に入ったりと、いつも犬とくっついて過ごす人が多い。いわば濃厚接触しているわけです。
もし飼い主さんが感染者だったとすると、犬の体表には当然ウイルスがつきます。その犬を散歩させているときに誰かが体に触れば、その人の手にもウイルスが付着します。散歩中に犬好きの人から「撫でてもいいですか?」と言われて触らせることは日常茶飯事です。その点については、しばらくは触る側も気をつけたほうがいいでしょう。