1ページ目から読む
2/4ページ目
「人間から犬に感染することはまずない」理由
──具体的に、どういうケースがあるのでしょうか。
野村 たとえば、フェレットは犬のジステンパーにかかり、人間のインフルエンザにも感染します。イタチやアザラシもジステンパーにかかる。先ほど言ったように、ウイルスは感染する相手が決まっていますが、これまで出会わなかっただけだったり、たまたま条件が合ったりすると、本来の相手とは異なる動物へ例外的に感染するんですね。
──人間から動物へと新型コロナが感染する可能性を排除できないことになります。
野村 新型コロナは、武漢の市場で売られていた野生動物、コウモリやセンザンコウなどを食べたことから広まったといわれています。動物から人間にウイルスが感染したとすれば、人間から動物に感染する可能性もゼロではない。ただし、犬はフリー(非感受性)です。人間から犬に感染することはまずないと思います。
──なぜ犬は大丈夫なのですか?
野村 ヨーロッパで感染者数が拡大していますよね。もし本当に新型コロナが犬に感染するなら、いまごろ大問題になっているでしょう。なぜなら、欧州諸国には愛犬国家が多いからです。ドイツなどでは病院やレストラン、地下鉄へも犬同伴が許され、子どもはダメでも犬なら入ってOKという店もあります。当然、畜犬登録数も非常に多い。
犬に感染する事実があるなら、ヨーロッパは大変なことになっていないとおかしいはずです。しかし、そういう話は聞きません。香港では17歳のポメラニアンに弱い陽性反応が出て、翌日に死んでしまったとのことですが、どこまで信憑性のある話なのか……。