20億円の区費を投入して病床を確保する
そこで、杉並区は医師会や区内の病院と相談し、名乗りを上げた4院を対象に(既存の2院も含む)、新たに70床程度の新型コロナウイルス専門の病床を確保すべく、合計20億円を超える区費を投入すると決めた。近く議会に諮りたい考えだ。
「既に感染者を受け入れている病院では医師や看護師がかなり疲弊しているのが実情です。でも今、踏ん張らなければ完全に医療崩壊してしまいます。そこでせめて病院の経営を支えるために支出するのです。実質的な半官半民と言えるでしょう。ただし、金額を細かく積み上げている余裕はありません。とりあえず支援し、あとできっちりと監査する予定です」と区関係者は話す。
また、区内ではいくつかの病院で、新型コロナウイルス用の発熱外来がプレハブやテントで整備されている。ここで働く医師や看護師は防護服を着なければならず、これから暑くなる季節はストレスと肉体的な疲労にさらされる。一方、個人の開業医も、感染が疑われる患者が外来に来ると、スタッフに移る恐れがあり、専門の外来を受診してもらいたいのが本音だ。
そこで杉並区は、病院で整備されている発熱外来には、開業医にも詰めてもらえないかと考え、その分の日当を1日当たり約16万円分支払う方針を固めた。この額は休日急病夜間診療に区が支払っている費用から計算したが、詰めてもらうのは1回当たり3~4時間程度になる見込みで、実質は5~8万円程度になるようだ。
「今がまさに分岐点です」
こうした医師への日当は、都が既に約3万円を補助している。ところが、都は区の方針を知った段階で「区が出すなら都は支出しない」と決めた。
これに対して区関係者は「とんでもない態度です。開業医は診療所を休み、場合によっては感染の恐れもあるのに、わざわざ来てくれるのです。ならば逆に都に聞きたい。もし都の約3万円の補助だけだと、自分が経営する診療所の看護師や事務員の給料も支払わなければならないのに、開業医は発熱外来に詰
「民間病院や診療所は、新型コロナウイルス対策に関われば関わるほど疲弊していくのが現状です。そのような事態を、国も都もシミュレーションしていなかったのではないでしょうか。これでは第二次世界大戦で物資の補給もなく多くの兵士が死亡したインパール作戦と同じです。新型コロナウイルスは国や都の医療政策や政治家の都合に合わせて