「アベノマスク」に続いた「アベノコラボ」
《実はこの“アベノコラボ”、不評を買った布製マスクを全世帯に配布する“アベノマスク”に続き、子飼いの内閣官房の面々が発案したもの。首相が言われるがまま行動していることに自民党内からは「総理の判断力は本当に大丈夫なのか?」と心配する声が上がっている。》(スポニチ・同)
ふつうにその“手口”が見えてきてしまった感。平時は見えなかったものが、緊急事態だから見えてしまった。見えないウイルスのせいで見えてきた。
政権はネットをかなり気にしている。これは政策に疑問なら声をあげれば効果があるともいえる。
たとえば、
「30万円支給 基準一律 単身『月収10万以下』」(読売新聞4月11日)
あの30万円支給政策は疑問の声が多くなったことで支給対象の基準が見直された。
「休業補償 風俗業も支援検討」(朝日新聞4月7日)では、菅官房長官が「見直しを検討したい」と述べた。まさに《ネット上などで「職業差別だ」と批判が出ていた。》(朝日・同)からだ。
無理解のうえにいきなりの政治利用
コロナを前に「政府は一生懸命頑張っているのだから分断をおこすな」という論調もあるが、それは間違いである。
こんな時期だからこそ権力者が何をやるのかチェックするのは当然だろう。力を持った人たちがおかしなことをやらないためでもある。それぞれが何か言えることは大切だ。
だから、あの首相動画のおかしさについても声をあげるのは当然だ。
「誰か、この動画に楽器の伴奏やコーラスやダンスを重ねてくれないかな?」と呼びかけ、ムーブメントを始めた星野源の意図を考えると、
《この動画は音楽を愛し、表現を行う目的での二次利用を許諾するものだったということです。》
という音楽家の指摘もある(「安倍総理の星野源さんコラボは何が問題だったのか / 音楽家からの視点と分析」KX)。
「仕事を失った音楽家に対して、自分の名前を使って有名になるチャンスを与えた」という意味もあるのだと。
最低限、ムーブメントの趣旨と作品に敬意を払うべきだったのではないだろうか。そこを無理解のうえにいきなりの政治利用。
いろいろ緊急事態です。