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「マスク1円セール」の日に起きた大阪・西成スーパー傷害事件《犯人の意外すぎる動機》

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「誰よりも正義感が強くて、これまでも癖のあるお客様とのトラブルでも『まあまあ』といって仲裁に入ってくれ、目下のアルバイト従業員からも慕われていた。家族もいて、日頃から高校生のお孫さんを可愛がっていた」(店舗幹部)

 防犯カメラの映像から犯人は70代前後の男と思われる。男は午前6時半に来店しサラダ油を購入。3時間後、再び店に現れた。

「オラ! 交換しろや。代わりのもん持ってこい」

「レジの若い女性スタッフに『サラダ油の蓋が開いていた』『交換してくれ』って言ってきたんです。完全な“いちゃもん”で、女性スタッフも困惑していた。そこにAさんが止めにいくと、『オラ! 交換しろや。代わりのもん持ってこい』『店長呼べ!』と口調が激しくなって、Aさんが『そんなん代えられへん』って言ったらまたガーッと(文句を)言いだしたのです」(同前)

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Aさんは73歳、15年勤務のベテランスタッフだった ©文藝春秋

 押し問答は10分以上続き、Aさんは結局、この迷惑客の要求を飲んだという。

「どうしようもないから、交換してあげようと、新しいサラダ油を持っていったのですが、なぜか犯人は逆切れ。Aさんの顔に唾をかけだした。店内だと他のお客さんもいるから、Aさんは『表に出てくれ』と言って店の入口へ移動して対応したのですが、その後もしばらくわめいていた。げんなりしたAさんがバックヤードに戻ってきた際、足が血まみれになっていた。本人は最初蹴られたと思っていたようで、血を見てフラフラになってしまった。血溜まりが出来て、従業員が救急車を呼びました」(同前)

 犯人は今も逃走し、大阪府警は行方を追っている。Aさんは幸い命に別状はなく、近所の病院に入院したという。

大阪府西成警察署 ©文藝春秋

「時期が時期だけに、ネットではマスク特売との関連で起きた事件と書かれていましたが、マスク特売による大きなトラブルではありませんでした」(前出・広報担当)

 マスクの特売は、このご時世では信じられないことに完売とはならず、数十枚余っていたという。

この日は1000円以上の買い物で1円で2枚のマスクが買えた