きょう4月23日は、お笑いコンビ・バナナマンの設楽統の47歳の誕生日である。この記事を書くにあたり、バナナマンの設楽統のプロフィールを見て、「おや?」と思ったことがある。それは、彼のコンビでの担当が「ボケ」とあったことだ。そんなことはファンのあいだでは常識なのだろうが、相方・日村勇紀の一目見たら忘れられないキャラクターを、設楽がいじるという芸風から、筆者はすっかり、ボケ役は日村のほうで、設楽はツッコミ役だと思い込んでいた。しかし、常識の枠から外れているという意味では、たしかに設楽の担当はボケだ。コントでもたいていは“おかしな人”に扮して、執拗に日村にちょっかいをかけ、ツッコまれ続けている。

自室火事でも……数時間後にはネタにして100万円

 筆者が設楽をツッコミと勘違いしたのは、彼が午前中の情報番組『ノンストップ!』(フジテレビ)のMCを務めているせいもある。何しろ、情報・報道系の番組でMCを務めるお笑い芸人は、ホンジャマカの恵俊彰や極楽とんぼの加藤浩次といい、くりぃむしちゅーの上田晋也や爆笑問題の田中裕二といい、ことごとくコンビにおいてはツッコミ役である。ツッコミが常識的な立場からボケを正す役割とするなら、世間の常識に立つべきこの手の番組のMCに彼らが起用されるのは当然といえる。だが、お笑いで設楽が演じているのは常識から外れたボケ役なのだ。そう考えると、情報番組への起用はなかなか異色ともいえる。

バナナマンの設楽統(左)と日村勇紀。設楽がボケ担当、日村がツッコミ担当 ©getty

 相方の日村のキャラクターのわかりやすさに対し、設楽は飄々として、どうもとらえどころがない。そこで思い出すのは、2007年3月に家の自室から火事を出した数時間後に、ネタ番組『ザ・イロモネア』(TBS)にバナナマンとして収録にのぞみ、ファイナルステージまで見事勝ち抜いて100万円を獲得したことだ。このとき、火事をさっそくネタにし、最後には焼けただれた携帯電話まで見せて笑いをとっている。

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 その携帯は火元のすぐ近くに置かれていたのだが、設楽が「こりゃどうしようか……」と思っていたところ、いきなり鳴り出したという。驚きながら出たところ、相手はマネージャーだった。そこで火事について伝えると、その日予定されていた仕事を一件ずらしてもらい、そのあとで『イロモネア』の収録にのぞむ。服も全部燃えてしまったので、スタジオには焦げたTシャツとジャージで行ったとか(※1)。それにしても、途方に暮れる暇もなく仕事に出かけ、すぐに火事をネタにして爆笑をとってしまうところに、設楽の底力と運の強さを感じる。それは彼の経歴からもたびたびうかがえることだ。

じつは西武鉄道の駅員だった

 埼玉県出身の設楽は高校卒業後、まず父親のコネクションで西武鉄道に入社。駅員として勤務するが、半年で退職してしまう。