文春オンライン

東京都・小池百合子「○」 “脅し”も使いこなす首都圏のMC

 いま感染者が最も多いのは首都圏です。その首都圏の知事は、千葉県の森田健作知事(70)は俳優出身、神奈川県の黒岩祐治知事(65)はフジテレビの元キャスター、埼玉県の大野元裕知事(56)もラジオでコメンテーターをやっていたことがありました。そんな「メディア慣れ」したメンバーのなかでも、東京都の小池百合子知事(67)の存在感は図抜けています。

 私が「時事放談」(TBS系)で司会をしていた際、彼女をゲストに迎えたことがあります。そのときの振る舞いは見事なもので、すべての議論が彼女の演出で進行していきました。驚いている私に、小池さんは「だって、私はMC出身ですよ」と笑顔で言い放ったものです。

東京都の小池百合子知事(67)の“演出巧者”ぶりは「○」の評価 ©JMPA

 彼女は、女性キャスターのパイオニアの一人。首都圏のコロナ対策においても、彼女が「メインキャスター」でした。「感染爆発 重大局面」というフリップを手にしながら要請した外出自粛についても、休業要請についても、首都圏で先をいっていた。“都の対策がいかに先を行っていて、国の対策がいかに遅れているか”を連夜の会見で“MC”として流し続けました。

 もちろん、負の側面もあるでしょう。たとえば、彼女が「ロックダウン」という言葉を口にしたことで、欧州諸国のような強制力のある都市封鎖が行われるかのような緊張感が生まれ、みな戸惑いました。あれは一種の「脅し」のテクニック。首長が「こんなことも起こるんだぞ」と、あそこまで唐突に市民を脅かすことなど普通はやりません。実際に、その煽りによって、一部で買い占めが進むなど、市民生活に混乱が生じたというマイナス面もあった。

 しかし、この「脅し」が効いて、国が動いた。安倍政権も「このまま全ての対策が東京都の後手後手に回っては大変だ」と慌てて動き始めたのです。

 この「脅し」のメリット・デメリットを承知の上で、「いまは政府を引き付けて引っ張っていかないといけないんだ」と、過激な表現を使うことを選んだ。その結果、実際に国を動かしているわけですから、その意味では現状までの小池さんの危機対応は満点に近い。この7月に行われる都知事選に向けたパフォーマンスだと言う人もいるかもしれませんが、嫌ったところで、彼女がやっていることに国もついて行かざるを得ないのは事実なのです。