男性にも育児に参加してほしい
――保育士の給料が低いと言われています。どう解消しますか?
金子 責任とリスクを考えると、保育士の仕事には見合わない報酬だとよく言われています。そのため、離職率が高いのでしょう。そこで2017年度から、国では報酬を加算しました。それは政治的な支援策です。しかし、これだけで現場はおさまると考えていません。もっと重要なこととして、保育士のワークライフバランスが取れていません。子どもが好きなのに、自分の子を面倒を見る時間はないというのは本末転倒です。また、保育士のキャリア設計も明確ではありません。一保育士としての人生を考えた場合、どのようなスキルをつければ、どのようなキャリアを目指せるのかなどを考えないといけません。
――母親になって政治の姿勢が変わりましたか?
金子 もちろん、女性政策や子育て支援は市議会議員の時から取り組んできました。しかし、一人の人間としても、議員としても大きく見方は変わりました。子どもと1日向き合うことは「大変な社会的労働」です。自分の思うようになりません。例えば、子どものうんちをするタイミングとか、出かけようと思ったら泣き出すとか、必死で働いているお父さん、お母さんがいることを実感しました。それでも働きたいという人がいる。就労意欲がある女性が諦めないように、希望を叶えてあげたい。そう今まで以上に思うようになりました。
男性の育児休業の取得率が上がっていません。私の夫もお騒がせしましたが、経験してみないとわからないことがあります。男性にも育児に参加してほしいです。育児休業を取得する男性が増えるよう、イクメン議連には頑張ってほしい。
地元の祭でベビーカーを押していますと、若い現役の子育て世代の人たちに声をかけられることが多くなりました。「子育て支援をお願いします」と言われます。「あなたも同じ立場ならわかるでしょ?」という意味だと思います。そういう期待をいただいているのであれば、本当にそこをなんとかしないと、日本自体がもたなくなります。夫婦の関係にも関わります。ライフワークにしていきたい。
病児保育の充実にも取り組みたいと思います。私も毎朝、息子の熱を測ります。37.5度を超えてしまうと、本人がいかに元気でも保育園には預けられません。ファミリー・サポートや自治体の独自のサービスがありますが、保育園に行くまでのところで課題が生じると、その日の予定が狂ってしまいます。病児保育が要望される理由がよくわかります。必要性が肌感覚としてわかってきました。
――今回の内閣改造で役職を離れましたが、今後の活動は?
金子 親の負担軽減として、乳児用液体ミルクを導入する勉強会を開いてきました。熊本地震の避難所支援で必要性が叫ばれました。最初に注目したのは小池百合子都知事(当時は衆議院議員)です。欧米にはすでにありますが、日本では認可されていません。国内製造を目指したいと思いますが、まだまだハードルがあります。そのため、まずは災害時の先行導入を考えたい。ストレスで母乳が出ない人や父親が活用したり、衛生環境が整っていなくてもミルクを用意できるからです。
また、保育事故に関する調査・検証ができるようにしたい。チャイルド・デス・レビュー(CDR)は欧米では法制化されています。子どもの危険を少なくしたいです。最終目標は議員立法です。まずは党内で声をかけて、超党派の議連も目指したいです。