地方では、定員割れの保育園も
――鈴木貴子衆議院議員が妊娠しましたが、「公人としての自覚が足りない」と言われたそうです。
金子 切迫早産で入院というときに心ない中傷があるのは非常に残念です。憤りもあり、応援の気持ちを込めて、ブログで応援させていただきました。私自身も切迫早産・切迫流産の診断を受け、同じように中傷された経験があります。
衆議院議員は国民の信託を得て、100%の仕事をしないといけない責任があります。しかし、子育ても介護も病気も経験しない人ばかりの国会で、国民の気持ちに寄り添った政策が作れるのでしょうか。むしろ、こうした経験を糧に活躍できるよう、代理人制度やICT活用など、議員の働き方改革を進めるべきと考えています。
また、女性も男性も体の仕組みを理解しつつ、お互いの性差を考える機会が学校教育で十分にとられていません。それは大事な教育の一つです。考えることができれば、自身や相手に優しくできます。性暴力もマタニティハラスメントも少なくなるのではないでしょうか。
――ところで、待機児童の現状を認識していますか?
金子 待機児童問題は全国一律で同じことが起きているわけではありません。首都圏、東京の中でも、通勤の要所では待機児童が増えます。都市部では、保育園を開設できる場所が不足して頭を悩ませています。一方、地方では、保育園の定員割れが起きています。存続が危ういのです。保育園を失うと、その地域では保育できないことになり、余計に子どもが減ってしまいます。さらに小学校までなくなれば、働く世代の人たちが流出しますし、文化も失います。閉園の危機は現実問題としてあります。子どもたちの取り合いも起きています。
――受け皿を作っているのに、なぜ待機児童が減らないのでしょうか?
金子 潜在的に子どもを預けたいと思っている人がいます。就業意欲がある女性が働くことで、それにともなって保育需要が増えているのでしょう。
――預けられない当事者からみれば残念な状況ですが……。
金子 いまも多様な保育サービスがあります。ただ、年齢ごとに差があります。私の子どもは1歳半ですが、この時期の子どもを預けたいという人は多いでしょう。
しかし、0歳や3歳以上とも違いがあります。それぞれの年齢に合った、きめ細かな保育サービスを増やす必要があります。例えば、送迎・託児を顔見知り同士で頼り合う「子育てシェア」のAsMamaという新しいサービスがあります。
預けられない方が子育てに縛られていると感じたり、子どもを預けることができないために仕事を諦めているのならば、子どもにかける予算を増やしていかないといけません。現実的には予算の問題がありますが、声をあげ続けないといけません。
――財源はどのように確保すべきでしょうか。
金子 「こども保険」というアイディアもあがっています。社会保障はこれまで基礎年金、高齢者医療、介護の3経費でした。子ども・子育て支援新制度によって、少子化対策も含む4経費になりました。これは歴史的な第一歩でした。
また、消費増税という約束もあります。政治の中で意識的に子どもにお金をかけるという考えに変えていかなければなりません。「福祉ばかり充実させていくのか!」と批判されることもあります。しかし、子どもは将来、日本を支える人材、財産です。子どもへの投資は経済戦略であり、教育でもあるのです。決して後ろ向きな支出ではありません。