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「中国語の『繁体字』の表記について、『体』を『體』に変更を提案する、という一点ではありましたが、本当にすごい経歴の方なので、開発チームも『おおっ』と燃え上がりました。世界的な危機に国境を越えて貢献しあう――これが『未来』なのかもしれないと感じました」(宮坂氏)

 ソースコードは、無償で複製が可能でデータを入れ替えれば他の自治体もすぐに使用できる。先に東京都が提供した“型紙”をさらに改善すれば、進化の速度はゼロからオリジナルを立ち上げるより格段に上がる。実際、全国の自治体や有志の住民によって、プログラムを活用したサイトが立ち上がっている。

もう一つの「画期的な取り組み」とは?

 対策サイトについてはもう一つ、画期的な取り組みが盛り込まれていると宮坂氏は語る。

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「それはデータを〈標準化〉した上で〈オープンデータ〉を公開したことです。これまでの行政の公開情報では、同じ事柄に関する文書でも、自治体ごとに書式がバラバラなのがふつうでした。例えば、〈日付・患者数・退院者数〉という順番で記す自治体もあれば、〈日付・退院者数・患者数〉という順番の自治体もあります。形式もPDFだったり、エクセルだったりとバラバラでした」

東京都の対策サイト ©文藝春秋

 宮坂氏はコンピュータという“現代最強の文明の利器”を最大限に生かすために、〈標準化されたデータ〉にこだわった。

「4年前に制定された官民データ活用推進基本法のもと、標準化された書式は用意されていますが、徹底されてはいませんでした。そこで都は今回、使用するデータについて標準化された書式を整えオープンデータとして公開したのです。他の自治体もこれにならってくれれば、長い目で見た時に、国全体でもデータを集計するのが楽になり、有益なデータを効率よく抽出しやすくなります」

 行政のオープンデータを元に市民エンジニアが独自のプログラムを開発する――対策サイトで見られたモデルが行政の選択肢を広げていく未来を、宮坂氏は展望している。

出典:「文藝春秋」6月号

 ではこれから都副知事としてどのようにコロナと向き合っていくのか。「コロナ禍以降、デジタルの利活用はより生活に密着した切実なものになる」というのが宮坂氏の見立てだ。その詳細を「文藝春秋」6月号と「文藝春秋 電子版」に寄稿している(「東京副知事『感染症vs.IT』戦記」)。今年7月の都知事選で再選を目指すと見られる小池知事にとって、「都政のデジタル化戦略」は目玉公約に上ってくる可能性は高く、縁の下を支える宮坂氏の手腕にも熱い視線が注がれることになる。

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文藝春秋

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