過去に文春オンラインで反響の大きかった記事ベスト5を発表します。皇室部門の第4位は、こちら!(初公開日 2019年7月18日)。
* * *
令和の皇后となられ、ご成婚時の輝くような笑顔を、取り戻されつつある雅子さま。
新皇后の半生を徹底取材した決定版『皇后雅子さま物語』(文春文庫)から、新皇后の「あゆみ」を特別公開します。
◆ ◆ ◆
2年ぶりの外国訪問「トンガ訪問」を後押しされた陛下
雅子妃は2014年、オランダのアレクサンダー国王夫妻を招いての宮中晩餐会に、実に11年ぶりに臨まれた。ご療養に入る直前、メキシコ大統領に紹介されなかったあの宮中晩餐会以来のことである。
正礼装のローブデコルテにティアラをつけられた雅子妃は、笑顔だった。オランダ国王夫妻を見送られる際、皇后に促されて、半歩前に出た雅子妃は実に嬉しそうだった。
翌2015年7月には、国王トゥポウ六世の戴冠式にご出席するため、皇太子と南太平洋のトンガ王国を訪問された。
2年ぶりの外国訪問の決断へと後押しされたのは皇太子だったという。皇太子が雅子妃の背中を押されたのは、初めてのことだったのではないだろうか。これまでは、ご療養中の雅子妃が頑張りすぎないよう見守られてきたが、雅子妃のご体調が上向いてきたことや、公務への意欲を示されているタイミングを傍でご覧になっているからこそ、声をかけられたのかもしれない。
笑顔で何度も何度も人びとに手を振られていた雅子さま
トンガ国王戴冠式の日は、朝から青空が広がっていた。首都ヌクアロファの教会の周りには、多くの女子学生や街の人が集まっていた。雅子妃は、おそらくご療養中で初めてといえるほど華やかな装いで、ベージュ色の地模様にビジューがちりばめられたロングドレス姿だった。会場前で雅子妃が車から降りると多くの歓声と拍手が送られた。
戴冠式後、国王に続き教会から出てこられた皇太子と雅子妃に、トンガの人たちから「マサコ! マサコ!」「ニッポン、アリガトウ!」と歓喜の声が上がる。まるでコンサート会場のような熱烈な歓迎ぶりに驚いたが、トンガ人の明るい国民性が感じられた。雅子妃は車に乗り込むと窓を開けて、笑顔で何度も何度も人びとに手を振られていたのが印象的だった。