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元阪神の“タガミ” 異色のYouTuberはなぜウケる?

文春野球コラム Cリーグ2020

2020/06/10
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まだ終わらない「タガミ」の野球人生

「体の使い方だったり、現役の時に知らない事が多すぎたんです。この知識あれば、今なら現役時代より良いプレーができるんじゃないかって」

 昨年6月に大学の先輩である「トクサン」こと徳田正憲氏が所属する草野球の強豪チーム「天晴」に入団して“現役復帰”した。実際、大学で学んだ物理学的要素の数々をインプットした上でプレーすると、目に見えて進化が感じられた。「軟式って硬式より飛ばないんですけど、現役の時より飛距離が出るようになって。自分でびっくりした。軟式でバックスクリーンに入っちゃうんだと。一言で表現すると、パフォーマンスがめちゃくちゃ上がりました」。

 現役時代、先輩の鳥谷敬が口にし、なんとなくうなずくことしかできていなかったトレーニング理論が、ようやく数年の時を経て理解できたことにも興奮した。理解が深まらなければ手にした知識も実体を持たない。「YouTubeは中学生、高校生といった学生が結構、見てくれているんですよね。プロでなくてもまだまだ自分に伝えられる、できることはあると」。連日配信される動画の根底にある思いは共通している。

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 新たな取り組みとして、5月1日からはオンラインサロン「天晴ベースボール大学」を開設。学部は指導者を育成する「教育学部」、球団経営を学ぶ「経営学部」、セカンドキャリアに関する「ビジネス学部」、「工学部」、「栄養学部」など20に及ぶ。田上氏の経験や所属する天晴メンバーの力も借りながら、専門的な分野の知識を様々なカテゴリーの野球人に届けるつもりだ。

「組織、チーム、地域に関係なく野球が好きっていう人たちにサロンに集まってもらいたい。野球界が抱える問題を解消したり、どんなイベントをすれば野球界が盛り上がっていくかも考えていきたい。最近、野球界は人口減、体罰、セカンドキャリアの不安など、マイナスな面を耳にするようになってる。その中で、様々なアプローチで変えていける部分があれば嬉しいですね」。

 3度の転職は、紆余曲折というよりは、愛する「ベースボール」を追求してきた確かな歩みに見える。プロ野球選手、スコアラー、アナリスト、草野球選手の顔を持つ「タガミ」の野球人生は終わっていない。

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