文春オンライン

小池都知事の「AI(人工知能)」発言のブラックさとは?

“異次元”な珍言が連発された1週間を振り返る

2017/08/19
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江崎鉄磨 沖縄北方担当相
「しっかりお役所の原稿を読む。立ち往生より、答弁書の朗読かな」

産経新聞 8月7日

 内閣改造で支持率もアップし、一息ついた安倍政権。ところが、いきなり新閣僚の失言が飛び出した。沖縄北方担当相の江崎鉄磨氏が、5日、地元の愛知県一宮市で開かれた祝賀会合後に、国会答弁について「答弁書の朗読」と語ったのだ。

 担当する北方領土問題についても「素人は素人。皆さんのいろんな知恵で色を付けてもらうことが一番大切」と語った。江崎氏は「謙遜のつもりだった」と説明したが、やる気あるの? と言われても仕方のない失言だ。もともと入閣への意欲は皆無で、安倍晋三首相から入閣の打診を受けても固辞していた。江崎氏を説得した二階俊博自民党幹事長からのアドバイスは「紙に書いてあること以外読むな」だったという(『週刊文春』8月17日・24日号)。言われたことをそのまま言っちゃったのか。

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言われたことをそのまま言っちゃった? 江崎鉄磨沖縄北方担当相

 会合の映像を見ると、江崎氏は大変上機嫌で舌もなめらか。冗談交じりのリップサービスだということは明らかで、人の良さもよくわかるのだが、それと閣僚としての資質は別問題だ。産経新聞からも「江崎氏の発言は軽率のそしりを免れない。国民の政治への信頼が揺らぐ中で、新閣僚の失言は厳に慎むべきタイミングだった」と叱り飛ばされている。

 江崎氏は安倍首相も怒らせている。初閣議の直後に振る舞われた日本酒を2杯も飲んだ酒好きの江崎氏に向かって、安倍首相は「ダメだダメだ、江崎さん。これから会見なんだから」と諭したという。それでも「これで勢いがついて、舌が滑らかになります」と言いつつ飲み続けようとした江崎氏に首相は手でバツ印を出してキレたとか(『週刊文春』8月17日・24日号)。

 この日のことを記者に問われた江崎氏はこう言い放った。「不適任だというなら、いつでも私(大臣を)辞めてやるから」。

菅義偉 官房長官
「ここは質問に答える場所ではない」

朝日新聞デジタル 8月10日

 学校法人「加計学園」の獣医学部新設をめぐる問題で、記者からの質問を受けた菅官房長官の回答がこちら。もはや「記者会見」「質疑応答」という言葉の意味が崩壊している。

もはや「記者会見」「質疑応答」という言葉の意味を崩壊させている菅義偉官房長官 ©文藝春秋

 愛媛県と同県今治市の担当者が2015年4月に首相官邸を訪れた際、同行した加計学園幹部も安倍首相の秘書官だった柳瀬唯夫・現経済産業審議官と面会していたという報道についての質問に対するもの。菅官房長官は「国会で述べた通りだ」と繰り返した上で、「ここは質問に答える場所ではない。政府見解を、事実に関連して質問していただきたい」と返答した。

 同日の記者会見では「政府があらゆる記録を克明に残すのは当然で、議事録は最も基本的な資料です。その作成を怠ったことは国民への背信行為」と語った政治家について問われた菅官房長官。「知りません」と一蹴したが、「これは、官房長官の著作に書かれているのですが」と返されて焦りの色を見せる一幕もあった。