ドナルド・トランプ 米大統領
「悪い団体がいたが、もう一つの団体もまた非常に暴力的だった」
産経新聞 8月16日
米南部バージニア州シャーロッツビルで起きた白人至上主義の団体と反対派の衝突事件で、トランプ大統領は15日に記者会見を開き、「両方の側に責任がある」と主張した。衝突事件では、抗議する人たちの中に極右集会に参加していた男性が自動車で突入し、ヘザー・D・ハイヤーさんが死亡したほか、19人が負傷している。ほかにも複数の衝突で15人が負傷した(BBCニュース 8月14日)。
トランプ大統領は会見で「(事件の)映像を入念に見た」とした上で、「悪い団体がいたが、もう一つの団体もまた非常に暴力的だった。誰もそのことを言いたがらない」と語った。事件の発端となった「右派の団結」集会の参加者については「全員が白人至上主義者というわけではなかった」と擁護している。日本のネットユーザーの中にも「原因は抗議する側にある」と白人至上主義者側を擁護する声が見られた。
トランプ大統領には「人種差別を容認するのか」と与野党から批判が殺到。ともに大統領を務めたブッシュ氏親子が連名で「アメリカは常に人種差別を拒絶しなければならない」という声明を出した(NHK NEWS WEB 8月17日)。
16日には大統領の助言機関から経済界トップの離反が相次いだ。ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェフ・イメルト会長は「トランプ氏の発言は深刻な問題だ」と語り、米製造評議会のメンバーからの辞任を決めた。同評議会の3分の1にあたる約10人が辞任を表明している。もう一つの重要な助言機関である戦略・政策評議会は「不寛容、人種差別主義や暴力は米国の価値を傷つけるものだ」と声明を発表した(日本経済新聞 8月17日)。
陸海空と海兵隊の4軍トップも人種差別への批判を表明。陸軍のミリー参謀総長は「陸軍は人種差別や過激主義、憎しみを許さない」とツイッターに投稿。海兵隊のネラー司令官も「海兵隊には人種的な憎しみや過激主義の入り込む余地はない」と投稿した(日本経済新聞 8月18日)。
亡くなったヘザーさんの母親は16日に行われた追悼式典で、怒りを憎悪や暴力、恐れに向けず、意見の違う人との対話に向けてほしいと話し、「何がおかしいのか見つけて。傍観しないで。(世の中を)変えるために何ができるのかを自問して。それが娘の死を意味あるものにします」と訴えた(毎日新聞 8月17日)。また、ヘザーさんの父親は取材に対して「わたしは娘を殺した人を赦す。無知から生まれる憎しみをこの社会からなくしていくことが娘の願いだった」と語った。
一方、四面楚歌状態に陥ったトランプ大統領は日本時間の17日夜、ツイッターにお得意のフレーズを書き込んだ。「人々は、フェイクニュースメディアがいかに不誠実か気付いている。これらのメディアは私の発言を正しく伝えていない。恥を知れ!」(NHK NEWS WEB 8月17日)。