今年1月からの名言、珍言、問題発言を振り返る。「1週間のニュースの中から印象に残った名言、珍言、問題発言を振り返る」という趣旨の本企画だが、いつの間にか安倍政権と自民党から聞こえる言葉が多くを占めるようになった。珍言、失言とその背後にある疑惑の数が、政権の支持率低下に大きな影響を与えていたのは間違いない。

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安倍晋三 首相
「こんな人たちに負けるわけにはいかない」

毎日新聞 7月4日

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 上半期最大級の失言。東京都議選投票前日の7月1日、安倍首相は都議選初の街頭演説を秋葉原で行った。同駅前には日の丸の小旗を振る自民党の支援者が集まったが、聴衆の一部からは「安倍辞めろ」「安倍帰れ」などのコールが発生。これに対して首相は「人の演説を邪魔するような行為を自民党は絶対にしない」と怒りを露わにし、聴衆を指差しながら一際大声で「こんな人たちに負けるわけにはいかない」と言い放った。

上半期最大級の失言。7月1日、秋葉原にて。 ©時事通信社

 小泉純一郎首相の秘書官を務めた元参議院議員の小野次郎氏の言葉がわかりやすい。「この方は、自分に反対の考えを持つ人々は国民ではないと思ってる。総理になって何年も経つのに、この方は全国民のために選ばれた職にある自覚は持ち合わせない、遺憾ながら」(ツイッターより 7月1日)。

 結果、都議選で自民党は「歴史的惨敗」を喫した。読売新聞の前木理一郎政治部長は署名記事の中で、都議選の大敗を「安倍首相にとって、2012年に政権に返り咲いて以降、最大の危機」とし、「国民は首相の言葉を信じられなくなっている」と厳しく指摘している(7月3日)。

 NNNが8月最初の週末に行った世論調査で、内閣支持率は35.6%と4カ月ぶりに上昇したが、加計学園の問題をめぐって安倍首相が「特区の会議が加計学園の獣医学部新設を認めるまで申請を知らず、働きかけもなかった」と説明したことについて「納得しない」が78.2%にも上っている(日テレNEWS24 8月6日)。まさに国民が首相の言葉を信じていないということだ。