大切なのは「歯磨き」と「舌磨き」
新型コロナウイルスが口の中の細菌と一緒になって肺に入り込むと、重症化することがわかっている。口の中をきれいにして唾液力を高めることは、感染予防にも、重症化の予防においても不可欠なのだ。
まず大切なのは、歯磨きと舌磨き。
「歯磨きで最も重要なのは、朝一番にやること。朝の口内は細菌まみれです。寝ている間は唾液がほとんど出ないので、自浄作用が働きません。寝る前に歯磨きをしても、朝起きたときには30倍ぐらい細菌が増えてしまいます。そんな状態で朝食を摂れば、細菌を全部飲み込むことになってしまいます」
歯は人によって生え方や並び方が違うため、汚れやすい部分と磨きにくい部分が異なる。自分に合った磨き方は、歯医者で教えてもらうことだ。柔らかめの歯ブラシと、フッ素入りの歯磨き粉がお勧め。
舌の奥に溜まる舌苔は細菌と食物残渣の固まりで、のどに近いから付着しやすい。舌クリーナーを使って、粘膜を傷つけないように磨く。
“唾液力”を高めるには?
また、唾液力は毎日の食事や習慣で高めることができる。
「唾液を作る唾液腺という臓器は、細胞を傷つける活性酸素に弱いので、抗酸化作用をもつ成分を含む食べ物を意識して摂るべきです。たとえば、唾液の分泌を促進するケルセチンを含むタマネギや長ネギ。ウイルスの増殖を防ぐフコイダンの多い、もずくやめかぶ。ビタミンEの100倍の抗酸化作用をもつとされるリコピンを含むトマト、などがあります。
唾液の質を高めるためにお勧めなのは、乳製品、発酵食品、食物繊維です」
食材を大きめに切ったり、ひと口のご飯の量を半分に減らすだけでも、咀嚼する回数が増え、唾液の分泌量を増やすことに繋がるという。
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槻木氏へのインタビュー「『オーラルケア』でウイルスを洗い流せ」(「文藝春秋」6月号及び「文藝春秋 電子版」掲載中)では、新型コロナウイルスに感染すると味覚を失う理由を考察し、唾液の力で免疫力を高める生活習慣について詳述している。
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「オーラルケア」でウイルスを洗い流せ
【文藝春秋 目次】<総力特集202頁>緊急事態を超えて ウイルスVS.日本人 山中伸弥 橋下 徹/磯田道史「続・感染症の日本史」/WHOはなぜ中国の味方か
2020年6月号
2020年5月9日 発売
定価960円(税込)