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年下のライバルであり、小林誠司を救う男

 そして、何より宇佐見には小林誠司しか1軍レベルの若手捕手がいないというチーム長年の課題克服の救世主としての期待も懸かる。なにせ巨人では15年シーズンから、小林以外で1軍の試合でマスクを被った20代捕手は1人もいないという異常な状況が続いていた。41歳の相川亮二や36歳の実松一成は基本バックアッパー役だし、頼れる阿部慎之助は完全に一塁手となってしまった。

 たとえ小林が打率1割台とどれだけ打撃不振でも代わりはいないチーム編成。ついでにレギュラー野手で20代はキャプテン坂本勇人と小林だけなので、何かあれば怒られ役として背番号22が過剰にマスコミやファンから批判されてしまう悪循環。もしも俺がコバちゃんならヘコむ。だってまるで近年業績不振で年下の新入社員がまったく入ってこない会社で、怖いおじさん達に囲まれて働いているようなものだから。「そんなにオレが悪いのかよ……」と真夜中にひとりヤケ酒をかっ食らうだろう。あ、もちろん悪酔いして器物損壊しない程度にだけど。

 そんな中、ようやく出てきた自分より4歳下の後輩捕手の存在。1つしかないポジションを奪われる危機感と同時に、ここ数シーズン1人で背負い続けた重圧から解放されて、ある意味ラクになる面もあるだろう。で、阿部を継承する正捕手は小林か、宇佐見のどっちがいいかって? いやいや焦り過ぎ。どっちかじゃなく、どっちもだ。

 2000安打を達成した阿部慎之助のような規格外のキャッチャーは今後しばらく出ないだろう。もう若手捕手に背番号10の幻影を求めるのはやめた方がいい。今の巨人に必要な視点は「ポスト阿部」じゃなく「阿部のワリカン」である。そう、偉大な阿部の後継者は1人じゃ無理でも、2人でその役割をワリカンしたらなんとかなるかもしれない。

 正直、2人ともまだまだ半人前。小林の弱点は打撃、宇佐見の課題はキャッチングや経験不足のリード面。だから、しばらくお互いの足りないところを補っていくしかない。

 小林誠司と宇佐見真吾。いわば彼らはライバルであり、同時にパートナーなのである。

 See you baseball freak……

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